中日のドラフト1位根尾昂内野手(18=大阪桐蔭)が「1位」でプロキャリアをスタートした。7日、新人合同自主トレがナゴヤ球場で始まり、約3・8キロの中距離走で14分47秒と6人中1着。2位以下に11秒差をつけて健脚をアピールした。視察した与田新監督を「常に1番になる感覚は持って欲しい」と関心させ、注目のルーキーがいきなり存在感を示した。

中学時代に試合で訪れて以来のナゴヤ球場。竜の聖地で根尾が、たくましい脚力を見せつけた。内外野に設けられた1周約380メートルのコースを10周するメニュー。序盤から先頭集団を維持すると、最後は苦悶の表情を浮かべる仲間を尻目にスパートをかけ、1着でフィニッシュした。14分47秒で2着の同4位石橋康太捕手(18=関東第一)に11秒差をつけた。「走ることも大事。手は抜けない。(中長距離を)走るのは得意じゃない。ずっと同じペースで走れた」。息を切らすことなく余裕の表情だった。

グラウンドに入る前に行われた身体測定では、体脂肪率15%を計測。塚本コンディショニングコーチは「昨年の京田と同じ。均整が取れ、バランスの取れた体で来ている。ポッチャリしているのが一般的だが、そんなところも見られなかった」と万全の準備した根尾の体に目を見張った。

新人合同自主トレ初日としては異例の報道陣約150人が集結。注目の中心はドラ1ルーキーだ。グラウンドだけでなく、移動もカメラが追った。「見られている中での練習は緊張感がある。そんな中で結果を残せるようにしたい」。甲子園で春夏連覇を達成しただけに、根尾は重圧をパワーに変えてみせた。

与田監督もその姿を見守った1人だ。「無理しろとは言わないが、1番になる感覚は常に持って欲しい。いい格好したい気持ちはプロとして必要。こういうところから、経験を増やして欲しい」。中日では監督が新人自主トレを視察するのは異例。期待の高さを物語るスタートとなった。【伊東大介】

<中日 近年の新人合同自主トレ初日>

▼09年 ドラフト1位野本が、割り当てられた時間では足りず、ただ1人マシン打撃をおかわり。約30分間バットを振り続けた。

▼11年 ドラフト2位の吉川が3・5キロ走でぶっちぎりでゴール。練習後も、立浪モデルのバットで振り込んだ。

▼14年 ドラフト5位の祖父江が5キロ走で20分10秒でトップ。ドラフト1位の鈴木らを周回遅れにするスタミナをアピール。

▼17年 ドラフト2位の京田が30分走で独走。1周約400メートルのグラウンドを17周半(約7キロ)した。

▼18年 4日に元監督の星野氏が急逝。8日の自主トレ初日には、星野氏を追悼しナゴヤ球場に半旗が掲げられた。練習前には新人8選手らが黙とうした。