「出た出たデータマン」と題し、18年の阪神をデータで読み解き、19年シーズンを展望します。

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大山は次代の主砲候補として、アピールに成功した。1年目の17年7本塁打に続き、18年は11本。入団2年目までに2桁本塁打に到達した阪神の選手は、新人だった80年に18本塁打を記録した岡田彰布以来、38年ぶりだ。

18年の大山は、3月30日の開幕戦巨人戦に6番・三塁で先発出場を果たした。球界のエース菅野から第2打席に2ランを放ち、快勝発進に貢献。最大のハイライトは9月16日DeNA戦だった。プロ野球史上初の「1試合6安打&3本塁打」という離れ業をやってのけた。シーズン終盤の9月29日中日戦から最終戦まで12試合で4番を務めた。

とはいえ、喜ぶには少し早い。無走者の状況で打率3割1分5厘の大山だが、走者を置くと2割2分9厘へ急落。得点圏では2割1分2厘、満塁では1割5分8厘と、好機になればなるほど悪化の一途をたどる。主砲の座を固めるには、勝負強さを身につけたい。

さらに気になる事実もある。近年の阪神では、2桁本塁打を達成した途端に、成長が止まる生え抜き選手が相次いでいる。林威助は07年に15本塁打と結果を残したが、翌年からは出場が減り、既に引退。09年に12本塁打を放った桜井は、故障のため実働わずか4年で球界を去った。16年原口は18年代打で結果を出したものの、レギュラー定着には至っていない。17年20本塁打の中谷は、18年5本塁打と失速した。大砲候補から真の主砲へ。一発長打の魅力を持ちながら、活躍期間が短い「一発屋」で終わってもらっては困るのだ。大山には勝負の年がやってくる。【記録室・高野勲】