プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの新潟は10日、キャンプ2日目の練習をハードオフ新潟で行った。入団2年目で今秋のドラフト候補、最速153キロ右腕・長谷川凌汰投手(23=龍谷大)が順調な仕上がりを見せている。昨秋は指名濃厚とみられながら、ドラフト会議で名前は呼ばれなかった。今年はリーグNO・1投手になり、ドラフト1位で指名されることを目標にシーズンの準備を進めている。

自身と対話するように、長谷川は丁寧なキャッチボールで練習を締めた。バランス、腕の振り、ボールのかかり。「この時期は自分の感覚と闘う時期」。キャンプ初日の9日はブルペンで約40球を投げ込んだ。この日は肩を休めるだけでなく、修正能力のアップに時間を使った。

明確な個人目標がある。「今秋はドラフト1位、できれば競合で指名される投手になる」。今季から指揮を執る清水章夫監督(43)にも宣言した。97年の日本ハムのドラフト1位左腕だった指揮官からは「そういう思いがあることが大切」と励まされた。

数字的なノルマを自身に課した。昨季は6勝(5敗)だった白星は、昨季のリーグ最多の15勝以上に設定。防御率は「0・00に限りなく近づける」。こだわるのは奪三振だ。「(1試合平均)10個は超えたい」。昨年10月、BCリーグ選抜の一員としてオリックス2軍と対戦し、153キロを記録。一躍プロの注目を浴びた。武器の直球だけでなく「フォークを身に付けたい」。直球とのコンビネーションで三振を取る形をアピール材料にする。

昨秋のドラフト指名漏れは「自分の意識の低さがショックだった」という。「昨季の自分は2軍レベル。プロが欲しいのは1軍で通用する戦力」。指名されることが目的ではだめ。1軍で戦える投手でなければ意味がない。意識を高く持った。

野球から離れている時間はコンディション調整に費やした。疲労がたまっていたらストレッチや有酸素運動をする。ヤクルトのキャンプにブルペン捕手として参加した宮沢直人捕手(25)には1軍の投手と自分の球の違いを聞いた。ドラフト1位で指名されるところから逆算し、必要なものをそろえ始めた。

「今は野球が楽しい」。充実感も向上心に拍車をかける。「BCリーグでは完封勝ちが当たり前にならないと」。妥協できない状況を作り、シーズンに向かう覚悟を決めた。【斎藤慎一郎】

◆長谷川凌汰(はせがわ・りょうた)1995年(平7)11月8日生まれ、福井県出身。北新庄小、万葉中では主に外野手。福井商1年で投手に転向。3年夏の甲子園で3回戦に進出した。龍谷大に進み、4年秋からは抑え役。昨季は6勝5敗4セーブ。憧れの投手は阪神藤川、楽天則本昂、巨人菅野。188センチ、95キロ。右投げ左打ち。背番号13。