ヤクルト小川泰弘投手(28)が、ようやく“開幕”した。初完投で今季初勝利。9回2死から2失点し、12球団を通じて令和初となる完封は逃したが、最後に中日大野奨を力のある145キロ直球で中飛に抑えた。被安打6、無四球の6奪三振、138球の熱投。開幕投手は「(開幕から)1カ月、長かったですね。時の運と思って割り切っていた。ここから積み上げていきたい」と話した。9回の完投勝利は、16年8月31日巨人戦以来。中日からの勝利は3シーズンぶりだった。

右打者へのシュートが、効果的だった。前回登板した4月27日広島戦(神宮)から解禁し、8回1失点の好投。敗れたものの手応えをつかんでいた。「(打者に)踏み込まれると相手ペースになる。シュートを使うことで(攻め方の)幅が広がった」と振り返った。

開幕から5戦勝ちなし。「我慢です。今は我慢」。自分に言い聞かせるように、何度も口にした。1カ月間で、ランニングの量を増やした。400メートルのインターバル走で、ストップウオッチ片手に汗を流した。ただ走るのではなく、姿勢を意識。「走るときの姿勢は、投げる時の姿勢に通じる」と練習を重ねた。苦しい時間を経て、地元愛知で1勝目。「仲良い人も来ていて、その前で勝てたことがよかった」とほほえんだ。