近畿学生野球リーグで、大工大が神戸大を4-3で下し、1953年秋季以来、131季ぶり2度目の優勝を果たした。

1-1の同点で迎えた7回、4安打を集中するなど3点を勝ち越した。その裏1点差に迫られたが、リードを守りきり、初出場となる6月の全日本大学選手権への切符をつかんだ。また、今秋ドラフト候補の奈良学園大・菅田大輔外野手(4年=京都共栄学園)が打率4割7分6厘で首位打者に輝いた。

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長く止まっていた時間がやっと動きだした。66年ぶりのV。ゲームセットの瞬間、マウンドに喜びを爆発させる選手の輪が広がった。

着実に力を付けてきた。14年秋、リーグ1部に復帰。約10年前からスポーツ推薦制度が始まり、栄養士も付いた。以前は、選手が雨天時はバッティングセンターに通うなどして練習場所を確保していたが、14年春に雨天練習場が完備された「OITスタジアム」が完成。15年春からは3季連続でリーグ2位と好成績が続いた。「1部に定着して(学生に)選んでもらえる学校の1つになった」と田中恵三監督(31)。甲子園経験がある選手も集まり、選手層にも厚みが増した。

「学生の一体感が生み出した優勝です」と田中監督。日頃から一体感を大切にする。部員は150人と大所帯。関係の希薄さを生まないために、学年混合の班で練習する。5年ぶりとなった春の合宿も全員が参加。「全員で行くきっかけが欲しかった。モチベーションも上がってすごく価値があった」。4月1日の新元号の発表は、部員で集まって見届けるなど、野球以外でもつながりを忘れない。

田中監督は「応援や期待してくれた方々に恩返しできたかな。全国では連盟の代表として恥ずかしくない野球をしたい」。持ち前の一体感で、全国の舞台に挑む。【望月千草】

◆大工大野球部 1950年(昭25)創部。同年、近畿6大学(1948年創立、現近畿学生野球連盟)に加盟。53年秋季に初優勝。2014年秋に2部リーグで優勝し、1部に復帰。15年春季から16年秋季にかけ3季連続で2位。昨秋は5位。チームポリシーは「文武徳三道」、「一意奮闘」、「凡事徹底」。部員数150人。