こんな1番打者がいれば勝てる。阪神近本光司外野手(24)が電光石火の「足攻」をかました。初回、強くたたきつけて高いバウンドの遊撃内野安打。十八番(おはこ)ともいえる打球で先頭出塁を果たすと、すかさず2番糸原の初球に二盗を決めた。

その後に大山の3ランが生まれたが、ド派手な一打の裏にあった細やかな仕事は見逃せない。新人特有の怖い者知らずの思い切りとは正反対。「しっかりとイメージというか準備していたことができたのがよかった。いろいろと想定しながらでした」。近本によると初回の内野安打、初球の盗塁も「イメージ」済みだったというから驚きだ。5試合連続得点(ホームイン)は自己最長。切り込み隊長の仕事ぶりを表す。

7回には左中間三塁打。糸原の浅い左邪飛で本塁を陥れた。「打った瞬間に三塁を狙っていました。二塁打より三塁打の方がいい」。3点差に広げる追加点。矢野監督は「効果的に1点を取れた。近本の足で取れた1点」と評価した。

2安打で打率3割1分2厘。最近7戦15安打と止まらず、マルチ安打は19度目。驚異の年間「52」ペースはリーグ新人記録の巨人長嶋茂雄の「48」すらしのぐ勢いだ。三塁打5本と15盗塁はともにリーグ単独トップになった。個人記録にはいつも無関心な背番号5。プレースタイルと同様、日々前進しか頭にない。【柏原誠】

▼近本が2安打を放ち、19度目のマルチ安打を記録した。このままいけば年間52度ペース。阪神新人最多の98年坪井40度、さらにはセ・リーグ新人最多の58年長嶋(巨人)48度の更新も視野に入る勢いだ。