東海大北海道が3季ぶり6度目の優勝を飾った。星槎道都大との優勝決定戦を4-2で制した。昨年6月、不祥事発覚で全日本大学選手権を出場辞退。東海大四高(現東海大札幌)で監督、部長として8度甲子園に出場した日下部憲和監督(67)のもと、「自覚」をテーマに再出発を図り王座を奪還した。明治神宮大会(11月15日開幕、神宮)出場をかけて、道6大学王者の東農大北海道との北海道代表決定戦(10月2日~、札幌円山ほか)に臨む。

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力を振り絞った。2点リードの9回2死満塁。東海大北海道の左腕、高沼拓海(4年=旭川工)が174球目を投じた。渾身(こんしん)の直球は最後の打者を投ゴロに仕留め、ピンチを切り抜けた。ナインが一斉にマウンドに集まり体をぶつけ合った。2失点完投で貢献した高沼は「やっと終わった。ホッとしました」。2時間51分の激闘を制して笑みを浮かべた。

昨夏の再出発からの頂点だ。昨年6月、未成年の飲酒が発覚。春季リーグ制覇で出場権を得た全日本大学選手権を辞退した。「あの思いはもう絶対したくないだろ」。直後に就任した日下部監督が口酸っぱく言い続けたのが「自覚」。新主将の外石和也二塁手(3年=駒大苫小牧)は思いを受け取り、同じ過ちを繰り返さないために改革を試みた。上下関係を見直し、ミーティングでは先輩と後輩で思ったことを何でも言い合える関係性を作った。

雰囲気作りで輪が広がった。ベンチワークを重視する外石は選手たちに声出しを厳しく徹底。チームは一体感を持ってリーグ戦に入った。67歳の日下部監督は選手との会話で「マジ卍(まんじ)」など若者のはやり言葉を使った。距離が縮まった選手は無料通信アプリLINE(ライン)で進路相談や悩み事も気軽に打ち明けるようになり、練習にも集中できた。

次は明治神宮大会出場をかけ東農大北海道と戦う。「ここまで来たら勝つだけ。相手よりもまずは自分たちを見直します」と外石。狙うは3年ぶりの神宮だ。【西塚祐司】