春秋連覇を目指す明大は、ドラフト1位指名の有力候補、森下暢仁投手(4年=大分商)が散発4安打に抑える快投で完封勝利。開幕から未勝利の早大に先勝した。初回に喜多真吾内野手(4年=広陵)の満塁弾の4点で逃げ切った。

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114キロのカーブ、最後の1球が明大・森下の進歩を証明した。4点リードの9回2死一塁。打者は加藤、1ボール2ストライク。鋭い減速とともにストライクゾーンへ落ちていく。「加藤の場面で(カーブを)修正できたところが、この試合でうまくいったところかなと思います」。10個目の三振を空振りで奪い、完封勝利が決まった。

序盤からカーブは良かったり、悪かったり。決まった直後に、ホーム手前でバウンドした。「手投げになっていたり、上体と下のバランスが崩れたり」。原因を投げながら探りつつ、試合の中で修正した。最速152キロの真っすぐとチェンジアップで三塁を踏ませなかった。

善波達也監督(57)は「カーブ以外は質のいい球を投げていたが、(カーブは)最後の1球だけ修正できましたね」と、試合後は満足そうに笑った。実戦の中で、変化球の球筋を調整する。それを強敵早大戦で実践したところに、森下のゲームメーク力がある。

ドラフト会議まで3週間足らず。リーグ戦に集中しつつも、ドラフトを考えずにはいられない。つい最近見た夢に、揺れる心理が反映していた。「打たれた場面でした。打者が誰なのか、右打者か左か、どこに打たれたかも覚えてません。でも、打たれた後の何とも言えないイヤな余韻で目が覚めました」。

それは逆夢で終わり、納得の形でライバルを仕留め、リーグ通算15勝をつかんだ。ドラフト1位有力候補の評価は変わらない。ドラフト当日まで残す実戦は第4週法大のみとなった。【井上真】

▽明大・喜多真吾内野手(初回に貴重な満塁弾)「人生初の満塁ホームランです。打った瞬間は抜けてくれと思っていました。東大戦で打ってなかったので、森下からそろそろ打てと言われてましたから」