東都大学野球リーグの亜大が14日、約3カ月ぶりの対外試合となるNTT東日本との親善試合を都内の同大グラウンドで開催した。

新型コロナウイルス対策として選手、関係者全員に抗体検査を実施。AI搭載の熱感知顔認証システムも導入した。リーグ戦開催に向け、この独自の対策がモデルケースになるかもしれない。

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立ち止まったままではいられない。安全対策を徹底すれば試合はできる。亜大は幾重の感染防止対策を実施した。

<1>球場入りの際、AI搭載の熱感知顔認証システムで体温を測定。マスク着用の有無を確認の上、認証カードを発行

<2>弱酸性次亜塩素酸水の噴霧除菌で入場

<3>抗体検査キットを使用し、全選手、関係者が医師による抗体検査を実施

<4>ゲートで手指洗浄

<5>ベンチ内では常に弱酸性次亜塩素酸水で噴霧除菌 <6>審判、グラウンド整備担当者、ボールボーイはフェースシールドを着用

<7>スタンドで観戦する選手、関係者はフェースシールド着用

試合は敗れたが、選手たちは伸び伸びとプレー。グラウンドには元気な声が響き渡った。ドラフト候補の矢野雅哉内野手(4年=育英)は「試合ができたことがうれしい。思い切り声を出して、これまでため込んでいた思いを出せた」と笑顔を見せた。視察した東都大学野球連盟の瀬尾事務局長も「1歩前進している。うれしいですね。これを参考に、新たな東都モデルを作っていきたい」と話した。

東都大学野球は春季リーグ戦が中止となり、亜大は寮に残った選手のみで自主練習を実施。手洗い、うがいを徹底し、外出は禁止、自主練習中も声は出さないなど、徹底したコロナ対策を行ってきた。生田勉監督(53)は「誰もが経験をしたことのないことに直面している今、いろいろなやり方を模索する必要がある。今こそ、皆で協力して前に進みたい」と選手たちを思いやった。

野球部は少しずつ活動を再開しているが、いまだ大学の授業はオンラインでの遠隔授業が続いている。指導者が学生たちのために、安全な環境を整えてあげられるかが、教育現場の大きな課題。9月の秋季リーグ戦の開催だけでなく、授業再開に向けてもモデルケースとなりそうだ。【保坂淑子】