プロ野球独立リーグ、BCリーグの新潟は今日10日、信濃と五泉市営球場で対戦する。今秋のNPBドラフト候補で抑えの前川哲投手(24)にとっては正念場だ。ここ2試合の登板で連続し救援に失敗し、勝ち試合を引き分けに持ち込まれた。チームも現在3戦勝ちなし(1敗2分け)。自らが結果を出すことで、チームを上昇気流に乗せる。

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前川は自分に言い聞かせるように言った。「先を見ず、1人ずつ抑える」。信濃とは1勝4敗1分けと負け越しているものの、前川自身は3試合で無安打無失点で1セーブ。出番が来れば抑える自信はある。

ここまで12試合に登板して6セーブ。ただ最近2試合は足踏みする。2日の福島戦、3-1の8回に登板したが適時打と自らの投ゴロ悪送球で同点にされた。6日の福島戦も1点リードの8回にマウンドへ。一塁へのけん制悪送球と適時打を許し3-3に追いつかれた。どちらも規定により8回で引き分けだった。

今季の失点はこの2試合だけ。「(2日の)投ゴロ悪送球は送球前に勝った場面を頭に描いてしまった。(6日の)けん制はしなくてもいい」と詰めの甘さを反省する。清水章夫監督(44)は鋭く指摘。「たとえ安打を許しても『よう打ったな、褒めてやるわ』と思うくらいのふてぶてしさがほしい」。試合を締める精神力に注文をつけた。

前川は「プレッシャーはあるがピンチを切り抜けて勝った時の充実感がいい」とストッパーのやりがいを感じている。2試合の失敗を糧に「まず気持ちで負けないこと。そして冷静に状況判断すること」と言う。

上手から横手にフォームを改造してほぼ1年。NPB球団スカウトが日参する中、7月18日の信濃戦では自己最速の156キロをマーク。狙われても簡単には打たれない直球を手に入れた。NPBドラフト指名へのアピールを順調に続けてきた。「1試合ずつ結果を出すこと」。勝利と将来につながる仕事を自分に課した。【斎藤慎一郎】