富士大(岩手)が3-2で青森大を破り、18年秋以来34度目の優勝を果たした。今年7月にコーチから昇格した安田慎太郎監督(35)のもと、開幕から無傷の8連勝。リーグ初の10連覇を達成して以降、昨年春、秋に味わった悔しさを胸に奪還した。5度のコールド勝ちを含む計81得点6失点と、2戦を残して決める圧倒劇。10月24日開幕の明治神宮大会東北地区代表決定戦(青森・はるか夢球場)では、南東北リーグ優勝チームと対戦する。

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10連覇を経験した常勝軍団が、復活の歓喜の輪をつくった。安田監督は初采配での優勝。「去年、負けたことを思い出しました。もっとグッとくるかと思いましたが、まだリーグ戦があるのと、決定戦2試合も残っている。そっちの方に頭がいっています」。胴上げに笑顔は見せたが、全勝優勝と3年ぶりの神宮大会出場に気を引き締め直した。

昨秋から培ってきた守備力が、最大の強みになった。1つのミスから崩れた昨年の反省をもとに、豊田圭史前監督(36=現武相監督)とも相談しながらノックは、数多く打球を受けて基本を徹底。「シートノックを減らして対面ノックに。正面や左右の簡単な打球で正しい捕球を繰り返しました」。失策は全8戦で、わずか3つ。主将の河内愛哉二塁手(4年=広島商)に加え、守備を評価して起用した三遊間は無失策。何度もチームを救った。

今までは豊田前監督が指導していた投手陣とは、さらに対話を深めて対処した。先発、中継ぎ、抑えの適性や、球質などの特徴を把握に尽力。「投手も野手も適材適所が一番意識した部分。選手を邪魔せず生かすにはどうしたらよいのか」。エース格に成長した金村尚真投手(2年=岡山学芸館)は、この日も無四球2失点完投。5試合登板で37回2/340奪三振5失点(自責2)の好内容に「安田さんとのコミュニケーションが増え、調整法を含めて自覚も芽生えました」。仲間からの信頼も強固になった。

開幕戦は8回に3失点して追いつかれる苦しい接戦を制した。八戸学院大ドラフト候補の大道温貴投手(4年)に18三振を喫しても1-0勝利。同監督は「選手も成長しています。そのおかげで僕も流れを読むことが楽しくなってきた」。新富士大は、まだまだ強くなりそうだ。【鎌田直秀】