オールいわきクラブ(福島・いわき市)が3-1でゴールデンリバース(秋田市)に逆転勝ちし、東北第2代表への望みをつないだ。7回までリードを許すも、同点とした直後の8回裏2死三塁で、5番渡辺竹大内野手(22=聖光学院)が左越えに勝ち越し2ラン。2回の適時失策を帳消しにする値千金弾を放った。

オールいわきクラブが本戦出場へ生き残りを懸けたクラブチーム対決を土壇場で制した。9人野球の相手にリズムを崩され、7回まで好機を逃し続けた。だが、6回から1イニング1投手の継投を仕掛けた4番手左腕を攻略。2死二塁から主将で4番の松本清秋内野手(32=双葉)の右翼線適時三塁打で同点とし、続く渡辺竹の公式戦初アーチで差し切った。

渡辺竹は2回の三塁守備で打球をトンネルし、先制を許した。「もんもんとしていました。(打ったのは)内角高めのスライダー。変化球が多かったので狙っていた」。社会人4年目で本来は投手登録だが、この日はレギュラー5人が仕事でベンチ入りできなかった穴を「二刀流」で埋めた。

本職は内野手の鈴木裕也捕手(30=小高工)も2投手をリード。8回には左中間二塁打で同点をお膳立てした。同点打を含む計3安打の松本主将は「9人相手に変なプレッシャーがあった。猛打賞なのに、渡辺に全部持っていかれた」と、ヒーローの座を奪われてもうれしそうだった。

チームは廃部になったオール常交を母体にして1988年の創部。2次予選出場は3年連続8度目で、地元開催の県勢で唯一の勝ち残りとなった。息子3選手も在籍する鵜沼直監督(56)は「2次予選で勝ったのはトーナメント制になって初めて」と喜び、「最後まで諦めない姿をいわき市民に見てもらえれば」と今日10日のJR盛岡戦に挑む。【佐々木雄高】