無印から光を放ち、プロ入りへのラストアピールに成功した。東北福祉大(宮城)佐藤悠輝外野手(4年=飛龍)が、26日のドラフト会議で逆転指名を待つ。今秋リーグ戦で公式戦デビューを果たし、全11試合に先発出場。3度の猛打賞を含む42打数17安打を放ち、打率4割5厘とリーグ5連覇の一翼を担った。ベストナインにも選出され、NPBのスカウト陣に猛アピール。チームメートの元山飛優内野手(4年=佐久長聖)、山野太一投手(4年=高川学園)の両選手は、ドラフト上位の有力候補に挙がる。

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佐藤悠は大塚光二監督(53)に背中を押され、プロ入りを決意した。「卒業後は社会人野球を考えていた。でも『最終的に目指すのは、プロ野球選手じゃないのか』と」。同僚にはドラフト上位候補の元山、山野がおり、スカウト陣の視線を浴びる機会は多かった。「1打席1打席が真剣勝負。悔いのないように、集中して臨んだ」と、無我夢中で白球に食らいついた。

今秋リーグ戦を見据え、努力を重ねた。コロナ禍の影響で4月から約3カ月間、故郷の静岡・沼津市に帰省を余儀なくされ「春季リーグが中止になって、落ち込んだ部分もあった。秋季リーグ開催を信じながら、自主トレに励んだ」。自らの打撃フォームを動画で撮影。ソフトバンク柳田、エンゼルス大谷のスイング軌道と比較。細部まで研究し尽くした。同時に、スクワットで下半身を強化した。デッドリフトで背筋力も鍛え「打球の飛距離が伸びて、すべてにおいて、レベルアップできた」と自信が芽生えた。

3年時までは公式戦出場なし。「選手層が厚く、レベルも高かった。出場機会がなく、悔しさだけがあった。最後は見返してやる」と奮い立った。4年春にAメンバー(1軍)に初昇格し、レギュラーに定着した。身長185センチでも50メートルは6秒ジャスト。打って走れる大型外野手に成長した。

同じくドラフト候補に挙がる上武大の最速155キロ右腕・佐藤蓮(4年)は三島シニア、飛龍でもチームメートだった。高校3年時はエースと4番、3年間同じクラスだった。佐藤悠は「今でも刺激になる存在。大学で対戦してみたかった」。練習試合で対戦予定もあったが、コロナ禍で消えた。LINEでは「お互い頑張ろう」と励まし合ってきた。最終学年で花を咲かせた2人は、プロの舞台で再会を誓い合った。【佐藤究】

◆佐藤悠輝(さとう・ゆうき)1998年(平10)8月6日生まれ、静岡・沼津市出身。小2からソフトボールを始め、中学時代には三島シニアでプレー。飛龍では4番を務めた。185センチ、86キロ。右投げ左打ち。遠投100メートル、50メートル走は6秒ジャスト。好きな選手はドジャース・ベリンジャー。

○…元山は世代NO・1遊撃手を狙う。1年春から活躍し、4年間で通算69安打を積み重ね、リーグ通算打率は3割5分6厘。3度のベストナイン、2度の最多打点、首位打者にも1度輝き、2年春にはMVPにも輝いた。それでも「結果に満足はしていない。プロで活躍できるかどうか、自分次第だと思っている」と気持ちを引き締めた。

○…山野は通算22勝負けなしで4年間のリーグ戦を終えた。今秋は3勝0敗で5季連続Vに貢献。17日の仙台大戦では自己最速を1キロ更新する150キロを計測。5種類の変化球も操るなど、完成度の高さを感じさせる。「プロ野球選手になるために、ここまでやってきた。ワクワク感が強い」と運命の当日を待ちわびた。