リーグ連覇へ導いたのは、巨人岡本和真内野手の神々しい「左手」だった。

1点を追う3回2死二塁。内角低め141キロ直球にインパクト。その直後。右手はバットから離れた。左手1本。リーグトップの28号2ランを左翼スタンドの中段へぶち込んだ。「去年は迷惑ばっかり掛けていたので、前半戦に関しては少しは去年のお返しができたのかなとは思うんですけど。折り返してからはまた迷惑ばかり掛けてたのでまたしっかり頑張りたいと思います」。不動の4番は謙虚に振り返った。

日本中が憧れる「巨人4番」。21歳11カ月から座り336試合の時がたった。24歳で300試合以上は、90代いる神々の中で岡本だけ。打撃の神様・川上哲治、世界の王貞治でもなし得なかった。「僕は本当に恵まれています」と言う。「自分が打って勝てるに越したことはない。打てずに負けたら、あ~自分が打てたら」と芽生えてきた責任感。大一番でバットに思いを乗せた。伝統球団の絶対領域。金看板を背負い、唯一無二の神話を描いていく。