巨人坂本勇人内野手(31)は、リーグ連覇が決まった瞬間、満面の笑みで両手でガッツポーズした。同点の延長10回をビエイラが無失点で引き分け以上が確定。ベンチに戻ると、リーグ連覇を告げるアナウンスが流れた。引き分けで試合終了し、原監督と抱擁。少し離れた位置から万歳で胴上げを目に焼き付けた。

坂本 野球ができる喜びを感じ、多くの方に支えられて達成できた連覇です。

グラウンドを離れ、胸の奥から込み上げてきたのは、野球へのあふれる思いだった。6月に新型コロナウイルスに感染。病室にこもる中、沈み込む心に明かりを照らそうと光を求めた。病室の窓から差し込む太陽の光を全身で浴び、スマートフォンで動画を検索。光る画面を見ながら心を保ったが、気付けば野球の動画に指が動いた。

仲間にも思いを伝えた。6月下旬、後輩の小林が左尺骨骨折で離脱。すぐに電話を入れ、自らが通い続ける治療院を紹介した。「お前の力が必要な時が来るから。気持ち、切らしたらあかんぞ」。開幕に間に合わせたが、前半戦は苦しみ、打率は一時2割台前半。それでも、周囲に気を配りながら、若手の活躍で勝利を重ね「救われた」と感謝した。

1回に左前打を放ち、右打者では、プロ野球史上最年少となる2000安打へ残り4とした。次は自身の偉業へのカウントダウンに注目が集まる。「1試合でも早くファンのみなさんと喜べれば」と期待を背負いながら「無観客を経験して、ファンの応援が自分たちの力になることをあらためて実感した。日本一になって、恩返ししたいです」と8年ぶりの日本一奪回を誓った。【久保賢吾】