広島九里亜蓮投手(29)が9回138球の熱投を見せた。2桁勝利に望みをつなぐ9勝目を手にすることはできなかったものの、自身初めてシーズン規定投球回を達成。開幕から先発ローテーションを守る右腕が、先発として新たなステージに上がろうとしている。

最後の138球目まで力を込めた。2点ビハインドのまま迎えた9回2死一塁で戸郷を143キロで空振り三振。劣勢の展開でも大崩れすることなく9回まで投げ抜いた。プロ初の2桁勝利をたぐり寄せる9勝目は手にすることができなかったものの、9回2失点の力投が9回裏の同点劇を呼んだ。

「結果的には粘り強く投げたように見えるんですけどね…。2アウトから失点だったり、(失点に絡む)四球があったりした。ゾーンの中で勝負する自分の投球スタイルができないところがあった」

試合後は反省の弁を並べた。本調子ではない中でも丁寧な投球を心がけた。序盤は毎回走者を出しながら粘り、4回は巨人の中軸3人で1点を先制されるも、後続は断った。6回も四球から連打で1失点。佐々岡監督が「苦しい投球になりながらも最少失点で抑えて、試合をつくってくれた」と振り返ったように、九里の粘りが打線に伝わった。

2点ビハインドの7回1死一塁でも代打が送られることなく打席に立った。首脳陣からの期待に応え、直後の8回は先頭坂本を右飛に打ち取り、プロ入り初の規定投球回をクリア。さらに続く巨人の中軸岡本、丸も抑え、9回まで投げきった。

昨季までは器用さとタフさが買われ、先発だけでなく中継ぎとしても起用された。先発にこだわり、投球だけでなく、不得意な打撃への意識も変わった。この日も巨人戸郷に対し、3回の打席は粘って8球を投げさせ、5回には止めたバットで弾んだゴロを全力疾走で内野安打とした。7回もきっちりと犠打で走者を進めた。

プロ初の2桁勝利に望みをつなぐ9勝目は手にできなかったものの、プロ初の規定投球回はクリアした。「自分の中ではシーズンに入る前からひとつのノルマとしてやってきた。超えられたのは良かったと思います」。先発陣に離脱者が相次ぐ中、開幕からローテーションを守り、積み重ねた数字に達成感はある。ただ、満足はしていない。「シーズンが終われば、その年は終わり。1年だけではだめなので、しっかりこれを続けていけるようにやっていきたい」。先発投手として新たなステージに上がるためにも、次回の最終登板で有終の美を飾りたい。【前原淳】