竜のエースが中日を8年ぶりのAクラスに導き、自身の2冠に前進した。大野雄大投手(32)がDeNA打線を7回5安打無失に抑え、自己最多タイの11勝をマーク。防御率を1・82とし、リーグトップを死守。2位の広島森下と0・09差に広げた。今季148奪三振で初の奪三振王は決定的となった。

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大野雄が7年続いた竜の暗黒時代に幕を下ろした。スコアボードにいつものようにゼロを刻印。2回に先制した1点を守り抜き、8年ぶりのAクラスにチームを引き上げた。「僕が入団してからほとんどBクラス。Aクラスまで長かった。めちゃくちゃうれしい」。竜党からの拍手のシャワーを気持ちよく浴びた。

初回から全力投球で臨んだ。初回無死一塁で伊藤裕を146キロ直球で空振り三振。2死一塁でもオースティンのバットを147キロ直球で空を切らせた。5回1死二塁では細川から6個目の三振。直後に右足がつったが、続投を志願。「普段は8回くらいにつるけど、飛ばしていたのが原因でしょう」とサラリと振り返った。3番からロペス、オースティン、ソトの助っ人右打者を並べたDeNA打線を見事に封じ込めた。

この日、現役引退会見に臨んだ吉見への思いも込めた。試合前練習のBGMは吉見の登場曲を自ら選んだ。キャッチボールも吉見と2人で行った。マウンドへの登場曲も自身の新人時代(11年)に吉見が使っていた曲を使用。「明日(6日)、吉見さんが投げる。感謝の気持ちを込めて使わせてもらった。やられなくてホンマに良かった」。本拠地最終戦で先発する元エースに快投でバトンを渡せたことに、安堵(あんど)の表情を見せた。

この日の快投で2冠に前進した。7個の三振を上乗せし、今季148奪三振で初タイトルは決定的。防御率も1・82とし、2位の広島森下に0・09差に広げた。森下が6回1/3を無失点に抑えれば、2位に転落する。次回登板に関して、与田監督は「本人の体調を確認しながら、継続して考える」と話し、中5日で11日の今季最終広島戦(マツダスタジアム)に登板する可能性はある。【伊東大介】

 

▽中日武田(2回の先制打が決勝点)「大野さんが0点に抑えてくれると思っていたのでなんとか先制点をと思い打席に入りました。いい結果が出てとてもうれしい」