東大は鈴木健投手(1年=仙台一)が先発し、2回1安打1失点(自責0)だった。

高校時代は仙台一(宮城)のエースとして活躍。3年の18年夏は仙台育英に8失点で敗れたが、直球には切れ味があった。

1浪の末、東大理科2類合格。念願の野球部に入ったが、コロナ禍に見舞われ、大学のチーム練習に参加できたのは8月に入ってからだった。せっかく上京し、1人暮らしを始めたのに、大学にも通えない日々。近所の公園で素振りやシャドーピッチング、ウエートなどを続けるしかなかった。「早く野球がやりたい一心でした」。野球の動画を見て思いを募らせた。楽天松井、マリナーズ菊池、DeNA今永ら、同じ左腕投手の映像を見て、参考にできる部分を探した。

この日は、初回に2四球を出した。課題が出たが、2回は修正。最速は133キロを記録した。大投手の指導も受けた。井手峻監督(76)の中日時代の同僚である権藤博氏(81)が、今トーナメント前に指導に来てくれた。「打者にどのボールを投げて、どう打ち取っていくか。考えて投げなさい」と組み立ての重要性を教えてもらった。「これからも意識していきたいです」。

スタンドで見守った井手監督は「球速以上にボールが来ている。冬にトレーニングして、135キロ以上、出せるようになれば。来年は戦力になって欲しい」と期待を込めた。神宮球場で初めて投げた鈴木は「課題は多いです。ストライクが入らないし、変化球も全然。総合力を上げて、春のリーグ戦を目指したい」と、来春のデビューへ意気込んでいた。