自信の直球を武器に真っ向勝負を挑む。南東北大学野球リーグの石巻専大(宮城)松沢寛人投手(4年=糸魚川)が、社会人野球のバイタルネット(新潟市)に内定したことが10日までにわかった。最速147キロのサイド右腕で1年春に4勝1敗、防御率2・08の好成績で新人賞を獲得。チームを13季ぶりのリーグ制覇に導き、全日本大学野球選手権では東京ドームで1回戦の先発マウンドに立ち、共栄大(東京新大学)戦で1失点完投勝利。球場表示で147キロをマークし、スカウト陣を驚かせるなど、1年春に鮮烈デビューを飾った。

だが、同秋にフォームを崩し、2年時には肩を故障。以降はストライクを積極的に取りにいく投球が、コースを狙うスタイルに変わり、ボール先行が続いて苦しんだ。3年秋には、打者に向かって投げられなくなるイップスも経験した。松沢は「考え方をリセットした。自分のためではなく、チームが勝つためにどのような投球が必要になるかを考えた」と気持ちを入れ直して練習に取り組むも、最終学年はコロナ禍で春は中止、秋はリーグ日程と教育実習期間が重なって1試合登板にとどまった。

挫折の悔しさは、故郷の社会人チームで晴らす。バイタルネットは北信越地区代表で都市対抗と日本選手権を合わせて9度の出場を誇るが、いずれも14年の出場が最後。練習環境整備のため、昨年から練習拠点を仙台市に近い大和町に移しており、「第1、第2の故郷である新潟と宮城に恩返ししたい。自分は周りから見れば変則サイドなので、ワンポイントでも1年目からチームの役に立ちたい」。2つの故郷の期待を背に輝きを取り戻し、2大タイトル出場の一翼を担う。

◆松沢寛人(まつざわ・ひろと)1999年(平11)1月30日生まれ、新潟・糸魚川市出身。西海小1年時に西海ファイターズで野球を始め、糸魚川中では軟式野球部。糸魚川高2年秋に県8強。石巻専大では1年春からベンチ入り。176センチ、80キロ。右投げ右打ち。家族は両親、兄、妹。