虎党にビッグなクリスマスプレゼントだ。阪神が25日、今季韓国プロ野球のKTで本塁打と打点の2冠に輝いたメル・ロハス・ジュニア外野手(30)の獲得を発表した。推定年俸250万ドル(約2億6300万円)で2年契約とみられる。背番号は「24」に決定。矢野燿大監督(52)が3番構想を明かした両打ちスラッガーの加入で、助っ人8人態勢最後のピースが埋まった。16年ぶり優勝へ、大補強完了でキャンプに臨む。

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阪神の今オフ大型補強の大トリは、今季韓国プロ野球のKTで47本塁打、135打点をたたき出したロハスだ。クリスマスに球団は契約締結を発表。NPB他球団に加え、MLB球団も興味を示した争奪戦を制した。今季MVPに輝いたスイッチヒッター。スコアボード表記、ユニホームは「ロハスJr.」となる。待望の虎第一声も届いた。

ロハス とても興奮しています。球団だけではなく、甲子園球場も素晴らしい歴史と伝統がある偉大な球場だと聞いているので、プレーできることが今から楽しみです。最も楽しみにしているのは、応援していただける多くのファンのみなさんにお会いできること。素晴らしい環境がそろった伝統のある阪神タイガースでプレーできることを誇りに思います。

実績は文句なしだ。17年途中にKTへ移籍すると18年に43本塁打をマーク。今季打率も3割4分9厘を残し、4年連続で3割以上をマーク。矢野監督も「対応力が高い選手。エース級の投手でも対応してくれる期待を持っている」と喜びの声を上げた。今季3番打者が固定できない時期もあっただけに、指揮官は「ロハスがそこにハマる、スイッチということも含めて。3番か5番かなとは思っているけど、どっちかというと3番というイメージはしている」。3番ロハス、4番大山、5番サンズorマルテの中軸構想が、21年虎打線の基本線となりそうだ。

過去見た中でどういう選手と重なるかを問われた矢野監督は「03年に(日本シリーズで)ダイエーと戦った時にいい左バッターが。めっちゃ選球眼がよくて勝負強くて。対戦していて嫌だなという印象だった。そういう変化球に対する対応力もあるし、そこに(ロハスは)ホームランを打つ力も持っている」。脳裏に描いたのはダイエー・バルデス。100打点カルテットの一角を担い日本一に貢献した助っ人だ。さらに両打ち、長打力を踏まえると「西武のパフォーマンスをしていた、デストラーデとか?」とも。3度の本塁打王、2度の打点王を獲得した大砲のイメージも重ねた。

球団は前日までにサンズ、エドワーズ、マルテ、ガンケルと契約更新し、新助っ人チェン、アルカンタラの獲得、守護神スアレスの残留を次々に決めてきた。そしてロハスの獲得。強力助っ人8人態勢で21年シーズン、悲願の頂点に挑む。

 

◆メル・ロハス・ジュニア 1990年5月24日、米インディアナ州生まれ。10年ドラフト3巡目でパイレーツと契約。16年5月にブレーブス移籍。17年にはドミニカ共和国代表としてWBCに出場。17年韓国プロ野球入り。今季は本塁打と打点の2冠に加え、MVPも獲得した。父のメル・ロハスはエクスポズ(現ナショナルズ)などで通算34勝を挙げた投手。大叔父はエクスポズなどで監督を務めたフェリペ・アルーという、野球一家に生まれた。188センチ、102キロ。右投げ両打ち。

 

◆ペドロ・バルデス(01~04年=ダイエー)来日1年目には主に2番を打ちながら、21本塁打。03年には6番に座って104打点を挙げ、松中、城島、井口との「100打点カルテット」を形成。日本一の立役者となった。日本通算86本塁打。打率3割2厘と安定感も兼ね備えた。

 

◆オレステス・デストラーデ(89~92、95年=西武)89年シーズン途中に来日し、左右両打席から本塁打を連発。1年目から4年連続30本塁打以上と、長打力を見せつけた。秋山幸二、清原和博とともに黄金時代を支えた。本塁打王3度、打点王2度。日本通算160本塁打。