関甲新大学野球の上武大が7日、群馬県伊勢崎市の同校球場で全体練習を行い、プロ志望を宣言する最速146キロ右腕・岩本淳太投手(3年=広陵)が投げ込みを始めるなど、本格的な練習に入った。

上武大は、今シーズン「個の能力を上げる」をテーマに掲げ、組織作りを構築している。その手始めが、1年間を通したチームのマニュアル作りだ。

年間のスケジュールを計画し、それに合わせた目標を立て、達成方法を模索する。練習方法もより具体的だ。テクニックとトレーニング、戦術の3つに分け、さらに細分化していく。例えば課題の守備を、キャッチボール、内野、外野、連係に分ける。その中で今、何が必要かを全員で書き出し、練習方法を作り上げて行く。

岩本は、高校3年の秋に右肘のトミー・ジョン手術を受け、リハビリを続けていた。大学1年で1度は投げられるまでに回復したが、焦りから投げすぎて再発。2年夏まで、その繰り返しだった。今年からは少しずつ調整を始め、トレーニングを計画的に行うことで100球を投げ込むまでに回復した。この日のブルペンでも持ち前の力強い真っすぐを中心に変化球を交え完全復活をアピール。広陵では広島・中村奨成とバッテリーを組んでいたこともあり「もう1度、奨成とバッテリーを組みたい」と、力を込めた。

マニュアル作りのきっかけは、チーム力を上げるためにはどうしたらいいのか。また、コロナ禍での練習への取り組み方法を考えた結果だった。コロナ禍でまとまって練習ができない今、全員で目的意識を統一。その上で、個々でもできる練習方法、取り組みのマニュアル作成が、チーム力につながるというわけだ。

谷口英規監督(51)は「今は、チームよりも個を問う時代。まずはしっかり個の力を作りあげ、大学生としてのスキルアップと、野球人としてのスキルアップ。その両方を成長させていきたい」と、選手の成長に期待している。

チームを支えるOB会も、新しい道を歩もうとしている。今月中には、特定非営利活動法人化する予定。OB会長の飯塚宏史さん(47)は「昨年はコロナ禍で、OB会として何もできなく、もどかしさがあった。これからは選手の生活環境など、手厚くサポートしていきたい」と話す。

コロナ禍で見いだした新たなチームの形で、日本一を目指す。