日刊スポーツ東北版で、毎週木曜に楽天情報をお届けする「週刊イーグルス」。第5回の今回から毎月末、大村三郎ファームディレクター(FD、44)がファームの現状を語ります。【取材・構成=桑原幹久】

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<投手>

-ドラフト2位の高田孝が先発ローテーションに定着

ものは間違いなくいい。十分ローテを守っているし、いい成績も残している。まだ課題は多いけど、間違いなく来年以降は上で投げていると思う。一時期変化球が多くなり、真っすぐがかなり減っていた。本人やコーチと一番いい球は何か、という話をして、やっぱりみんな真っすぐだと。若いし、投げっぷりがいい。生きがいいのが出てきたな、という感じでやってみようよと話はした。

-持ち味は投げっぷりの良さ

コントロールももちろん大事だけど、ストレートを生かして変化球で三振をとったり、ゴロを打たせたりして、打者を打ち取る勉強を彼なりに、やっとできるようになったと思う。僕がよく言うのは同期の内間を見ていたら投げっぷりがええよね、と。先発と中継ぎでタイプが違うけど、真っすぐが一番いい球であることは一緒だから。

-塩見の現状は

1軍の先発陣に何かあったらバックアップの1番手に挙がるくらい、状態は上がっている。ぜいたくな話を言うと(調子のいい)先発が多すぎて、どこで使ったらいいか分からないね、という話もするくらい充実している。塩見も、うかうかしていられないと思う。

-救援陣では鈴木翔が主に9回に登板している

能力はあるけれど、課題もいっぱい。例えばコントロール。試合の中で準備が一番難しいのは7、8回。ゲームのポイントになる場面で三振をとってこい、というものなどを求められるから。そこで(鈴木)翔天、高田萌生あたりに行ってもらいたい。上に行ったらそういう準備の仕方になると思うので。

-牧田も好調

球は速くないけど、コントロールや力の入れ具合、入れどころを全部分かっている。ファームだとストライクをとることにあっぷあっぷしている選手もいる。いかに簡単に抑えられるか、ストライクをとれるか。若手には牧田をよく見ておけよ、と言っている。

-ベテランの存在は大きい

江夏さんの名言で「一流は指先で投げる。二流は肘で投げる。三流は腕で投げる」というのがある。牧田クラスになってきたら本当に指先で投げている。新人だけど、早川も名言通りに見れば一流だなと思う。スピードガンじゃなくて、打者にどう速く感じさせるか。その辺が1軍と2軍の違いだと思う。

<野手>

-育成の山崎真が打率3割4分8厘と好調

けが人が多く、春先に人数がいなかったので、肩の手術から状態が上がってこないけれど(山崎)真彰をDHで使ってみようか、という話を(三木)監督としていた。使わざるを得なかったというのはあるけど、僕的に打撃はそこそこいいなと思っていた。思惑通りに進んでいるけれど、正直ここまで打つとは思ってなかった。

-打撃の特徴は

基本は引っ張り。ただ、1つだけ他の人にないものがある。それはどんな形であろうが、バットが体の内側から出てくること。これだけは絶対に間違いない。ある程度速い球であろうが打てるは打てると思う。子どもの頃からやってきたスイングだと思うし、それは間違ってなかったと思う。

-バットを内から出すことは難しい

体からバットが離れるバッターは多い。(山崎真は)練習を見ていても本当にミート力は高い。試合に出て打っていくと自信になって、練習でも飛距離が出るようになって、広角に打てるようにもなっている。真彰は大卒だけど、去年1年間はけがで何もできていないから、僕の中では高卒と一緒だと見ている。成長をすごく感じるので見ていて楽しいですし、うれしいですよ。

-似ている打者は

(ロッテ)角中も絶対にバットが体から離れないから似ているところはある。真彰は変化球の時に下半身が浮いたりするけど、角中は逆に沈むくらいの感覚。角中がファームにいた時に僕らが浦和へ試合に行った。その時に真彰に「角中を見ておけよ」と言った。

-藤田の現状は

下半身のコンディション不良から22日の巨人戦から復帰した。ただ、年齢的に再発させたら今シーズンが終わってしまう。慌てずに少しずつ。トレーナー主導でしっかりとやってもらっている。

◆大村FDが選ぶ6月の注目選手 水上桂捕手(19)「ものすごく周りが見える子。いやらしく、おもしろいリードもする。まだ捕ったり投げたり打ったりする技術はあまりないけれど、去年と比べたら打撃はめちゃくちゃ良くなっている。試合を任せてもちゃんとゲームは作る。けが人が多かった春先は内外野もやった。試合ではきっちりとそのポジションをやらないといけないけれど、あくまで捕手としてどう生かしていくか。若い捕手は出場機会が少ないけれど、僕の中では水上に多くマスクをかぶらせたいと思っている」