10代ラスト登板も完璧だ! オリックス宮城大弥投手が(19)が得意の西武戦で7回5安打0封し、12球団トップの11勝目をマークした。西武戦は5戦5勝。唯一の黒星は交流戦の阪神戦で、パ相手は無傷9連勝の無双状態だ。チームの貯金12は今季最多を更新。25日に20歳を迎える左腕の夢は、年齢確認されることとSUVの高級車。堂々の新人王候補が、“オトナ”になっても首位を走るチームを先導する。

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落ち着いてバットを拾った。ボールボーイに優しく手渡すと、宮城もほっこり笑った。同点の6回2死一、三塁。4番中村に6球目、外角124キロチェンジアップを打たせて遊ゴロ併殺に仕留めると、一塁ライン上に落ちていたバットを拾って、丁寧に返却した。

「すぐそこにあったので、拾いました」

高鳴る鼓動を抑え、冷静に対応する。19歳の落ち着いた投球はプレート位置にもあった。普段は左打者には三塁側、右打者には一塁側を踏む“変則タイプ”だが、この日は2回以降は一塁側に固定。「初回にスライダーを引っかけたり、流れていた。修正できるように」。高山投手コーチや捕手の伏見に相談して実行に移し、好投につなげた。

山賊打線を7回5安打無失点に封じ、12球団トップの11勝目。前日20日に完投で10勝目をマークした山本から「いつも通り、プレッシャーをかけられた。『チームは3連勝しているぞ』って(笑い)」。しっかり期待に応えてチームは4連勝。貯金12は今季最多を更新し、首位を快走する。

投手タイトルを山本と競う。勝ち星は1つリード。防御率では及ばないが、中嶋監督も「(競争は)2人でやっちゃてください」とうれしい悲鳴だ。

大人の色気も出てきた。10代ラスト登板を飾り、25日に20歳を迎える。「年確(年齢確認)されてみたい。格好よくないですか? (お酒を)飲む場合に(店員に)ちょっといいですか? って言われて(身分証の)保険証を見せたい」といたずらっぽく笑う。

オフには「免許も取って、良い車でブンブーンって。SUV系が(狙い)」と夢は膨らむばかりだ。プランでは後輩を愛車に乗せて「『いいですねぇ』って。自分も今(先輩に)言うんで。(山下)舜平大とかに『ちょ、来いよ』と、良い車でコンビニ行きたいですね」。

11勝1敗、防御率2・01。2年目ながら権利を持つ堂々の新人王候補だ。だが「初心者マークで(速度を)守って」と初々しい一面も。ナビに表示する目的地は悲願のV。ハツラツとハンドルを握る。【真柴健】