リーグ戦初勝利を挙げた東大のエース井沢駿介投手(3年=札幌南)は、3安打3打点の4番井上慶秀内野手(4年=県長野)から、うれしい言葉をもらった。「井沢に勝ちをつけないで引退できない。うれしいです」。そう話す先輩の横で、井沢もうれしそうだった。

前日の借りを返した。1回戦は1安打1失点。その間に味方打線が6点をくれた。ところが、6回先頭への四球から崩れ、3失点。7回にも四球絡みで失点を重ね、降板した。5点リードを守れず、今秋初勝利を逃した。「今日はとにかく、先頭打者に四球を与えないように」。2-3の6回1死一、二塁で登板。前日100球近く投げたが、疲れを見せず、無四球で9回まで投げた。3回2/3、1安打無失点で勝利した。

野球は北海道の大学で続けるつもりだった。だが、高校最後の夏は地区代表決定戦で北海に敗れ、本大会まで進めなかった。「もっと上のレベルで野球をやりたい。北海道で負けてしまった。全国から強豪が集まるところで野球を続けたい」と東大志望に変えた。1浪の末、東大合格。1年目は浪人生活でなまった体のトレーニングにあて、2年春から神宮で投げている。

チームは今春のリーグ最終戦で64連敗を止めた。今回の連敗は、わずか3でストップした。井沢は「春に勝ち方を知りました。今までは、リードしていてもプレッシャーに負けていた。今は、多少劣勢でも、自信を持てています。今日は、やることをやって勝てた。春ほどの驚きはありません」と言った。白星を積み重ねるのは、これからだ。【古川真弥】