九産大(福岡6大学1位)が4-0で公立の北九大(九州6大学1位)を下し、3年連続10度目の優勝を飾った。看板の投手陣が躍動し、最速149キロの楠本宏武(2年=鎮西学院)と秋季リーグ4勝で最速151キロの渡辺翔太(3年=北九州)の両右腕で7安打完封リレー。10年の4強以来、初戦突破から遠ざかる明治神宮大会(11月20日開幕)へ、バッテリー中心の堅守で挑む。

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最後は前日30日の準決勝から2連投となった九産大の大黒柱、渡辺が締めた。2点リードの7回途中から救援し、9回2死二塁の場面。「自信のある球で最後は終わらせたかった」。この日最速の147キロ直球で遊ゴロに仕留め、ガッツポーズ。ナインが駆け寄り歓喜の輪ができた。秋季リーグの優勝では自粛した胴上げを行い、大久保哲也監督(59)が3度宙を舞った。

6月の全日本大学選手権は1回戦敗退。リベンジの機会となる全国切符を得た。秋の神宮大会の初戦突破は、後に日本ハム入りした榎下陽大投手を擁して4強入りした10年以来遠ざかる。「全国1勝を目指して頑張りたい」と気合十分だ。

先発楠本も6回2/3を投げて6安打6奪三振、無失点の快投で起用に応えた。この日は最速146キロ直球に加え、キレのあるカットボール、スライダーなどで翻弄(ほんろう)。大久保監督が「今シーズン一番の投球で完投させたいと思ったぐらい」の好投で勝利に貢献した。初戦は11月23日で、国学院大(東都)-仙台大(東北3連盟)の勝者と対戦する。楠本は「コントロールを意識した投球で、低めに集めて打たせて取りたい」と必勝を誓った。【菊川光一】

○…北九大の初の神宮大会出場はならなかった。九産大を上回る7安打を放ちながら、決定力を欠いて完封負け。送りバントや盗塁失敗、暴投からの失点など、攻守のミスも響き、流れに乗れなかった。福岡6大学王者に力の差を見せつけられ、山本浩二監督(42)は「チャンスで三振したり力の限界があった。0点は私の責任。覚悟していたが思ったより壁が高かった」と無念の表情だった。