巨人が新旧OBで再建を図る。12日、クライマックスシリーズ（CS）ファイナルステージのヤクルト戦（神宮）で引き分け、敗退が決定。リーグ戦3連覇と3年連続の日本シリーズ進出を逃した。来季続投が決定している原辰徳監督（63）の第3次政権4年目に向け、球団は組閣に着手。今季まで日本ハムでヘッドコーチを務めた小笠原道大氏（48）の2軍打撃コーチ、駒田徳広氏（59）の3軍監督就任が判明。今季限りで現役引退した亀井善行外野手（39）と大竹寛投手（38）も入閣する。巨人の歴史を知るOBを加え、リーグ3位からの再生を目指す。

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巨人の歴代強打者の1人に名を連ねる「ガッツ」が、若手育成の切り札として帰ってくる。今季まで日本ハムでヘッドコーチを務めていた小笠原氏が、来季は2軍打撃コーチに就任することになった。小笠原氏は07年に日本ハムから巨人にFA移籍すると、原監督の第2次政権では主軸として07年からの3連覇にも貢献。求道者のように打撃を追求し、通算打率は3割1分、2120安打、378本塁打、1169打点。ヘルメットが飛ぶほどのフルスイングと勝負強さでファンを魅了した。

指導者となっても、野球への真摯（しんし）さは不変だった。15年に中日で引退後は中日2軍監督、日本ハム1軍ヘッド兼打撃コーチを歴任。若手の育成に尽力しただけでなく、ユニークな練習を取り入れ、若手とベテランを問わず影響を与えた。巨人では来季、坂本が34歳、丸は33歳となる1年で、若手の育成は重要課題の1つ。秋広や中山ら、伸びしろ十分の若手の打撃力アップを託される。

駒田氏は史上初の初打席満塁本塁打デビューを飾って「満塁男」の異名を持ち、通算2006安打を放った左の強打者。一塁手としてゴールデングラブ賞10度と守備にも定評があった。横浜（現DeNA）にFA移籍後の00年に現役引退後は楽天や横浜で打撃コーチ、16年から4年間は四国IL・高知の監督を務めた。「育成」に主眼を置く3軍で、支配下で戦える選手の育成に尽力する。

走攻守を兼ね備えた外野手として引退直前まで活躍した亀井は1軍外野守備走塁コーチとして、松原をはじめレギュラー定着を狙う若手の能力開花が期待される。先発に中継ぎと経験豊富なうえ、故障から何度も復活を果たして活躍した大竹は、投手とコンディショニングの部門で1、2軍を巡回して指導にあたる見込みだ。金杞泰2軍ヘッドコーチ（52）は、1軍打撃部門のコーチとなる。

現首脳陣では宮本和知投手チーフコーチ（57）が退任し、フロント入りする予定。相川亮二バッテリーコーチ（45）は退団し、実松一成2軍バッテリーコーチ（40）が昇格。宮本コーチの後任として、桑田真澄投手チーフコーチ補佐（53）が投手チーフコーチとなる。第3次原政権4年目は、指揮官と元木・阿部コーチを中心に、新旧OBを加えて再建への道筋をつくる。

◆小笠原道大（おがさわら・みちひろ）1973年（昭48）10月25日、千葉県生まれ。暁星国際からNTT関東を経て96年ドラフト3位で日本ハム入団。02、03年首位打者。06年は打点、本塁打の2冠でMVPに輝き、日本一に貢献。巨人にFA移籍した07年、リーグをまたぎ2年連続MVPを獲得し、13年オフ中日へFA移籍。15年引退。通算2120安打、378本塁打、1169打点、打率3割1分。引退後は16～19年中日2軍監督。20、21年日本ハム1軍ヘッド兼打撃コーチ。現役時は178センチ、84キロ。右投げ左打ち。

◆駒田徳広（こまだ・のりひろ）1962年（昭37）9月14日、奈良県生まれ。桜井商から80年ドラフト2位で巨人入団。83年4月の大洋戦で史上初となる初打席満塁本塁打デビュー。89年日本シリーズMVP。93年オフにFA宣言し横浜に移籍。00年に2000安打達成し同年引退。通算2006安打、195本塁打、953打点、打率2割8分9厘。引退後は05年楽天、09年横浜で打撃コーチ。12年9月から常磐大硬式野球部で臨時コーチ。16～19年は四国IL・高知で監督を務めた。現役時は191センチ、90キロ。左投げ左打ち。

◆宮本和知（みやもと・かずとも）1964年（昭39）2月13日、山口県生まれ。下関工から川崎製鉄水島を経て84年ドラフト3位で巨人入団。97年に現役引退。通算成績は287試合で66勝62敗4セーブ、防御率3・60。19年から巨人にコーチとして復帰し、今季は投手チーフコーチ。

◆桑田真澄（くわた・ますみ）1968年（昭43）4月1日、大阪府生まれ。PL学園では甲子園に5季連続出場。85年ドラフト1位で巨人に入団。日本通算173勝141敗14セーブ、防御率3・55。最優秀防御率2度、最多奪三振1度。94年セ・リーグMVP、87年沢村賞。巨人を退団し、07年は米大リーグ・パイレーツでプレー。10年に早大大学院スポーツ科学研究科を首席で修了。21年から巨人にコーチとして復帰し、今季は投手チーフコーチ補佐。次男はMatt（マット）。