関甲新学生野球の春季1部リーグは9日に開幕する。昨秋2部2位だった新潟大は01年秋以来の1部昇格を果たした。開幕の上武大戦から1部残留への戦いが始まる。室内練習場がなく、雨天なら練習はオフ。クラウドファンディングで遠征費を募るなど苦しい環境の中で国立大の意地を見せる。

1部リーグ戦を戦うのは3年生の大半が生まれた01年の秋以来。新潟大ナインの思いは残留へまっしぐらだ。1部所属10校のうち、国立大はただ1校。昨秋の2部2位からの昇格だけに苦戦は覚悟の上だ。学生監督の高橋怜史監督(3年=巻)は「何とか爪痕を残したい。インパクトを残したい。まず1勝」と言う。開幕戦の相手は上武大。主将の岩渕大捕手(3年=新潟南)も「挑戦です。国立の意地を見せたい」と話す。

取り巻く環境は厳しい。昨季まではほとんど全員がアルバイトで遠征費を捻出していた。1部昇格した今春はクラウドファンディング(目標額70万円)で周囲の支援を仰ぐ。高橋監督は「自分たちの負担を軽くしたかった」。資金的な問題は軽減したが、練習環境は変わらず厳しい。

専用グラウンドは水はけが悪い。雨天なら練習は完全オフだ。室内練習場はなく、大学内のウエートトレーニング室もコロナ禍以降は使用不可。講義の時間帯も各人違うため、週2回は午前6時から2時間の朝練習を行う。硬式野球部は学生の自主運営で練習メニューは高橋監督、岩渕主将らの合議制。甲子園経験者もおらず、突出した選手もいない。そんな不利な条件の中、1部に挑む。岩渕主将は「楽しみ。野球人生の中で、この上ない機会になる」。誰もが同じ思いで9日の開幕戦を迎える。【涌井幹雄】

新潟大は守備から攻撃のリズムを作るのがチームの身上。その守りの“最前線”投手陣の核として期待されるのは160センチ右腕・大和田健人投手(3年=岩手・大船渡)だ。「1部レベルの打者と戦える貴重な機会」と言う。部は厳しい環境の中での活動だが、大和田は「いろいろな人に支援してもらっている。それに応えたい」。

◆1部10大学 1部の編成は8大学から10大学に増加。1試合総当たりの勝率制でリーグ戦を実施。1部最下位は2部1位との入れ替え戦を行う。