九産大が10-0の5回コールドで九工大を下し、6季連続、春8連覇へ好スタートを切った。

来秋のドラフト候補で最速150キロ右腕、楠本宏武投手(3年=鎮西学院)が5回1安打無失点で9三振を奪う快投。今春のソフトバンク3軍とのプロアマ交流戦で、中継ぎで4回2安打無失点と好投した自信を糧にした。プロ注目の4番中村貴浩外野手(4年=九州国際大付)は2打数無安打だった。

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“緊急登板”の楠本が、開幕投手の大役を務めた。最速151キロを誇る今秋ドラフト候補のエース右腕、渡辺翔太投手(4年=北九州)が先発を回避。大久保哲也監督(59)が「アクシデント」と説明したチームの危機を、来秋のドラフト候補が救った。8日の練習中に先発を告げられ「渡辺さん1人に頼るのではなく、冬から渡辺さんに負けないつもりで練習した」と前向きに受け止めた。

リーグ戦初の開幕戦先発にも、楠本は「緊張はなかった」と強心臓を見せた。この日の最速145キロの直球を主体に、決め球のカットボールやスプリットなど多彩な変化球で翻弄(ほんろう)。3回までは、2回1死から回をまたぐ5者連続奪三振など完全投球。4回、先頭打者に二塁打を浴びたが、後続を2三振、一ゴロに打ち取った。

3月の実戦で自己最速を150キロに更新。特に「真っすぐで押した」というソフトバンク3軍戦は、中継ぎで4回を2安打無失点に抑えた。開幕マウンドも「普通に自分のピッチングをするだけ」と自信があった。今季の目標は「優勝して8連覇と、任せられた試合は全部勝つ」。リーグ通算3勝目で成長の証を見せた。【菊川光一】

◆楠本宏武(くすもと・ひろむ)2001年(平13)7月28日、長崎県生まれ。千綿小1年から千綿小ソフトボールクラブに在籍。千綿中では長崎中央リトルシニアでプレー。鎮西学院3年夏にエースで長崎大会準優勝。九産大では2年春からリーグ戦登板。変化球はカーブ、カットボール、スライダー、スプリット、チェンジアップ。177センチ、83キロ。右投げ右打ち。