「真夏の大冒険」の続編とは-。阪神、ロッテで活躍した鳥谷敬氏(40=日刊スポーツ評論家)がアスリートに迫る「鳥谷敬VSパリ五輪の星」。第2回は東京五輪スケートボード女子ストリートで日本選手最年少の金メダルを獲得した西矢椛(14=ムラサキスポーツ)と26歳差対談です。5児の父でもある元スター遊撃手が、親子ほど年が離れた中学3年生に直撃。一躍「時の人」となった後の悩みや日常、未来に迫りました。さらに金メダリストから即席スケボー講座を受け、難技に挑戦したのですが…。【取材・構成=佐井陽介】

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鳥谷氏はまさかの難技成功で場を凍りつかせてしまった。西矢による即席スケボー講座。後ろ足を使ってボードを半回転させるトリック「ショービット」を課題で与えられると、持ち前の向上心に火がついた。

「えっ、板を回す!?」という白旗状態から、2度目の挑戦で「いけそうかも」。3度目で「惜しい!」。4度目に早くも形にして、5度目で大成功させた。あまりの早業に、大失敗の連続を予想していた周囲はあぜん。「あれっ、この空気感…」と本人が焦るほど、時が一瞬止まった。

小中学生時に少しかじった経験があるとはいえ、「バンク」と呼ばれる傾斜下りまで高さ40センチ、60センチをあっさりクリア。その運動神経には「こんなにすぐできる人はいない」と西矢もビックリだ。一方の鳥谷氏も湾曲形状の「アール」を勢いよく滑り降りる金メダリストの姿を目の当たりにして、「見ているだけで怖い…」と衝撃を覚えていた。

◆スケートボード 米国を中心に発展し、若者に人気がある。東京五輪の新競技として採用されストリートとパークが実施された。ストリートは階段や手すりなど街中を模したコース、パークはコンビプールと呼ばれるボウルをふせたようなコースで争う。両種目ともトリック(技)の難度、独創性などを競う採点競技。ジャンプやスライド技の多いストリートに対し、パークは回転技が多く、スノーボードのハーフパイプに近い。

◆西矢椛(にしや・もみじ)2007年(平19)8月30日生まれ、大阪府松原市出身。2歳上の兄の影響で5歳からスケートボードを開始。小学校6年だった19年、世界最高峰のXゲームで準優勝。21年の世界選手権で準優勝。東京五輪では13歳330日で金メダル。サッカーはC大阪、お笑いは千鳥のファン。ニンテンドースイッチで好きなゲームは「マリオカート」。愛称は「もみちゃん」。158センチ、48キロ。

◆鳥谷敬(とりたに・たかし)1981年(昭56)6月26日生まれ、東京都出身。聖望学園3年夏に甲子園出場。早大を経て03年ドラフト自由枠で阪神入団。1939試合連続出場はプロ野球歴代2位。17年に通算2000安打を達成した。19年オフに阪神を退団し、ロッテで2年間プレーして現役引退。13年WBC日本代表。11年最高出塁率、ベストナイン6度、ゴールデングラブ賞5度。180センチ、79キロ。右投げ左打ち。

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