ロッテ山本大貴投手(26)とヤクルト坂本光士郎投手(27)の交換トレードが29日、両球団から発表された。

リリーフ左腕同士の珍しい交換トレードになる。ロッテ側から考察する。

現状、対左打者へのワンポイント起用も含めた中継ぎ左腕が1軍にいない。入団から7年連続で40試合以上に登板した松永昂大投手(34)が肩や肘のコンディション不良で昨季は1試合も登板できず。育成契約となった今季も29日時点で、2軍登板さえない。

変則タイプの山本は、松永不在のポジションを埋めることを期待されていたが昨季、今季ここまでと1軍登板がなく、2軍のイースタン・リーグでは最近はクローザーを務めていた。投球の主体はカットボール。自身では「パリーグの打者は直球に強く、簡単にはじき返すイメージがあるので、そこに負けない直球を投げていかないと厳しくなってくる」とも分析していたことがある。

井口資仁監督(47)もこの日、リリーフ左腕同士の交換トレードには「まあ、でもセパ(間でのトレード)なんでね。あまりそこは」と説明した。リーグでの戦略性の違いと、そこから予測される2人の将来性が、今回の交換トレードが成立した背景の1つといえそうだ。

松永の離脱以降、ロッテは必ずしも中継ぎ左腕を1軍ブルペンに入れていない。ピンチで左の強打者を迎えた場合、昨季は動くボールが持ち味の田中、今季は小野やルーキー広畑といった右腕勢がその役割に。広畑は4月5日の日本ハム戦(札幌ドーム)では満塁の大ピンチに、日本ハム浅間を外角からのカットボールで三振に抑えた。配球も含めた戦略で、試合中盤以降の対左打者を切り抜けている。

坂本は球威と投げっぷりが特徴的なリリーフ左腕で、1軍ブルペンにぴたりとはまる可能性は十分にある。井口監督も「(坂本は)うちにいない左投手、勢いのある投手なので、いいところで使えるようになったらいいなと思います」と期待を込めた。

ただ、左腕である以上に、坂本の実績そのものを買った可能性も十分に考えられる。プロ3年目の昨季、36試合登板で1勝2敗7ホールド、防御率4・05。ヤクルトのリーグ優勝に貢献した。ロッテでは東條が44試合、益田と小野が38試合、ゲレーロが36試合と前半戦でのリリーフ陣の登板が多くなっている。コロナ禍に収束気配がなく、夏場を迎え、選手たちのコンディション維持はより難しくなる。少しでもブルペンを手厚くしたい中、直近の実績が豊富な坂本が戦力になると大きい。登板を重ねて新たなリーグでの対左打者への特性が出始めると、さらに頼もしくなる。【ロッテ担当=金子真仁】

◆坂本光士郎(さかもと・こうしろう)1994年(平6)9月9日、広島県生まれ。如水館では2年夏に甲子園出場。日本文理大、新日鉄住金広畑を経て、18年ドラフト5位でヤクルト入団。19年4月24日巨人戦でプロ初登板。21年4月24日中日戦でプロ初勝利。179センチ、75キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸1400万円。

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