阪神ドラフト1位の森木大智投手(19)が将来の侍入り&後半の1軍戦力を猛アピールした。U23NPB選抜の一員として3番手で登板。ヒット1本は許したが、最速154キロの真っすぐを軸に1回を無失点に抑えた。侍ジャパン栗山英樹監督(61)の初采配で、白星に貢献する快投。試合は打撃戦の末、プロが8-6で逃げ切り意地を見せた。

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森木は注目の舞台でも堂々としていた。2点リードの3回に3番手で登板。神宮のマウンドは人生で初めてだった。まずは左打ちの巧打者、駒大・林を強気の153キロの直球で左飛。東京6大学通算12本塁打のスラッガー、早大・蛭間には左前打されたが、動じなかった。21年都市対抗野球で準優勝に貢献したホンダ熊本・丸山は、151キロの直球で空振り三振。最後は大阪桐蔭の17年センバツ優勝メンバーでNTT西日本・泉口を中飛に仕留め、ベンチで根尾らと笑顔でグータッチした。

森木 真っすぐでうまく打者を翻弄(ほんろう)できたと思います。楽しんで投げられました!

解説を務めた元日本ハムの斎藤佑樹氏(34)からも絶賛された。伸びのあるまっすぐに、思わず「すごいな」と声が漏れた。この日の最速は154キロ。「トラックマン」の最高回転速度は2672回転をたたき出した。「(プロでも)トップクラス。分かっていても打てないストレート」と自慢の剛球をベタ褒めされた。

高知高からドラフト1位で入団し、5月から2軍戦で先発の経験を積み始めた。7月2日の2軍オリックス戦では、初めて甲子園のマウンドを経験。6回を2安打無失点、9三振の快投をみせるなど、順調に成長を重ねてこの日を迎えた。

U23NPB選抜を率いた侍ジャパンの栗山英樹監督(61)にも、アピールに成功だ。指揮官から「投げっぷりが好きだと言われました」と笑顔を見せた後、日の丸への思いも明かした。

森木 ジャパンに入って投げたいなという思いが強くなりました。トップで活躍できるために、今からやっていかないといけない。

後半戦の1軍戦力、そして未来の侍ジャパン入りへ。真夏の神宮ナイトで意義ある12球を投じた。【三宅ひとみ】

◆投球の回転数 投球や打球に関する数値を、正確に割り出す「トラックマン」などを使って計測する。プロ野球の投手では、2200回転あれば速い部類に入るとされる。17年に8試合連続2桁奪三振を達成した楽天則本の、当時の回転数は2500前後。森木の回転数は、現在の球界でもトップクラスに位置する可能性が高い。一般に投手の投げたボールは、回転の上面は空気の流れがあり空圧が低い。一方の下面は空気の流れが遅く、空圧が高くなる。圧力は密集したところから薄いところへ働く。このため、回転数の多いボールは、打者にとって浮き上がって見える利点がある。

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