コロナ禍の阪神が急失速の4連敗で、20日ぶりの借金生活に陥った。4番の佐藤輝明内野手(23)が走者を置いて2度凡退するなど20度目の完封負け。特に大山の離脱後にかかる期待は大きいが、この間7試合の打率はわずか8分7厘しかない。8月月間打率もワーストの1割2分1厘で、失速した昨季と同様試練の夏を迎えている。だが、4番が打たずして活路は見いだせない。こそ会心の1発で連敗を止めてほしい。

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佐藤輝はうつむき加減に、一塁ベースを駆けた。京セラドーム大阪に響きわたっていたメガホンの音は、ため息に変わった。4点ビハインドの9回2死三塁。背番号8が左飛を打ち上げ、今季20度目の完封負けが決まった。直近4試合は3得点で34イニング連続適時打なし。反発力なく、4連敗で20日ぶりの借金生活に陥った。矢野監督は「うーん、苦しい状況はみんな分かっているんでね。それにしても、何もできなかったなという、そういう感じです」と言葉を振り絞った。

近本、大山がコロナ禍で離脱する現状、4番佐藤輝にかかる期待は大きい。だが、この日も走者を置いて2度凡退するなど無安打で、8月は月別ワーストの打率1割2分1厘で本塁打もゼロ。特に5日に大山が出場選手登録を抹消されて以降は23打数2安打、打率0割8分7厘にあえぐ。

矢野監督は「4番だけじゃなくてみんなでやってるし。別に輝だけじゃなくて」とかばうように言った。チーム唯一の全107試合出場。疲労もピークとみられ、今季最大級の踏ん張りどころを迎えている。

前半戦で20発を放つなど大ブレークした昨季は夏場に失速し、プロ野球ワーストとなる59打席連続無安打の不名誉記録をつくった。試練の夏、同じ轍(てつ)を踏まないために模索の日々だ。この日は島田らと早出特打を敢行。7月31日以来のホームゲームで打ち込みに時間を割いた。「あいつが打たないと勝てないって本人が一番分かってると思う。4番がしょげてるような(感じでは)、チームの士気も下がってしまう」。10日のDeNA戦後に井上ヘッドコーチが奮起を促したように、前を向いてきっかけをつかむしかない。

初回2死一、二塁の守りでは平田の右前打で一塁走者の三進阻止しようとした三塁送球が乱れた。さらに糸原の適時失策で初回2失策で痛恨の2点を献上。チーム失策数は今年もリーグ単独最多の67に増えた。「苦しい状況やから、無駄な点をやらないようにしていかないと」と矢野監督。打てず守れず、もどかし過ぎる4連敗。ズルズルいくわけにはいかない。だが首位ヤクルトも7連敗と苦しんでいる。重苦しいムードを吹き飛ばす、背番号8のアーチが見たい。【中野椋】

○…島田と山本が新たにつくられた応援歌のお披露目日に安打競演した。1番島田は初回、大野雄の初球を右前打へ。初球打ちだったため、応援歌は2打席目から流れた。山本は第1打席で初球を遊撃安打。第2打席は2球目を投ゴロの早打ちで、応援歌が流れる前に打席を終了。第3打席の7回2死一、三塁は、チャンス時の「ヒッティングマーチ」が流れたため、演奏はお預けとなった。

○…小林が今季1軍初登板を1回無安打無失点で抑えた。4点ビハインドの9回に登板。中日先頭の土田を一ゴロ、続く大野雄を見逃し三振とし、最後は岡林を146キロの直球で中飛に料理した。「とにかく全力で腕を振ることだけを考えて投げました。ゼロに抑えられてほっとしています」。7日、新型コロナに感染した石井の代替選手として今季初昇格。2軍公式戦では18試合に登板し、1勝0敗、4セーブ、防御率0・95の成績だった。

○…藤浪が連敗ストッパーになる。13日の中日戦に先発し自身の今季初勝利も狙う。前回6日の敵地広島戦は6回1/3を5安打2失点、7奪三振。勝ち星はつかなかったが、好投で復肩をアピールした。「しっかりコンディションを整えて、準備してきました。(試合の)入りは誰しも難しいと思います。自分も得意ではないですけど、抑えていくしかない」と必勝を期した。相手は15年夏に東海大相模で甲子園を制した左腕小笠原で甲子園V腕対決となる。

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