西武中村剛也内野手(38)が史上14人目となる通算450号本塁打を達成した。残り1本で迎えた楽天18回戦の2回無死、元同僚の岸から今季8号を放ち、節目の数字にたどり着いた。プロ21年目、1933試合目での金字塔。中村らしく高々と、滞空時間の長い打球で左翼ポール際へ。史上45人目となる1000得点も同時達成した。貴重な先制&決勝弾にもなって、2位ソフトバンクとのゲーム差も1・5に広がった。

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中村は体の変化に向き合い、相棒も変化させてきた。今握るバットは、長さ33・5インチ、重さ885グラムの巨人岡本和モデル。21年の交流戦で拝借した際に感覚がよかったという。その夏に契約するSSK社に同じ型の製作を依頼し、今季も引き続き、使用している。

球界でも最重量級のバットを長く使ってきた。重さ940グラムの33・5インチで、素材は「アオダモ」。重く、よくしなるバットを使いこなし、アーチを積み重ねた。ただ、年齢とともに直球への振り遅れが増え、4年前の18年夏、相棒を大きく変えることを決断した。

巨人坂本モデルなど、さまざまなタイプを試す中で選んだのは今江敏晃モデルだった。長さは0・5インチ伸ばして34・0インチとした一方で、重さは一気に50グラム減の890グラムに。これを約3年間使ったのち、現在の岡本和モデルに至った。長さは再び33・5インチに戻し、重量はさらに5グラム軽量化。そして一番の変化はポイントの位置。従来よりもバットの先端寄りにし、よりヘッドを効かせるようにした。

素材も変えてきた。愛用してきた「アオダモ」が希少になった背景もあり、近年はアオダモより硬くて弾くといわれる「メープル」を使用。そして今は、メープルに比べ、しなるのが特徴の「イエローバーチ」の打感が合い、この素材を使っている。

「ただただ自分が打ちたいだけ」という本塁打を打つため、そのときの己に最適な1本を追求してきた。そうやって描いてきた450回のアーチ。バットは変わっても、代名詞ともいえる美しい回転で高く飛んでいく弾道は、変わらない。【上田悠太】

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