関甲新学生野球・秋季1部リーグは9月3日に開幕する。10大学による1試合総当たりの勝率制。初戦で常磐大と対戦する新潟医療福祉大の白勢悠貴投手(3年=加茂暁星)が、リーグ戦デビューする。故障続きで同期から大きく出遅れたが、ありったけの思いをマウンドにぶつける。

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リーグ戦初マウンドへの不安より、白勢の心は投げる喜びにあふれていた。「緊張はしているけれど、どんな場面でもいいから投げさせてもらってチームに貢献したい」。そんな思いを胸に、投球練習で投げ込むボールには気迫がこもる。変化球の切れ味は鋭い。持ち球はカーブ、スライダー、チェンジアップ。別メニュー調整期間中にカットボールを覚え、武器のひとつに加えた。

ケガのトンネルから、白勢はようやく脱した。「何度か、やめたいと思ったけれど諦めたくなかった。やめたら『絶対、後悔する』と努力してきた」と振り返る。大学入学直後の6月に右肘靱帯(じんたい)炎症に見舞われた。長いリハビリ調整を経て、昨秋のオータムカップで2試合5回を投げた。しかし、春先に右上腕二頭筋を痛め、今春のリーグ戦は登録メンバー外となった。今の気合を入れた投球を支えるのは2度の故障を乗り越えた強い精神力だ。中継ぎの起用が濃厚ながら「1勝はしたい」と話す。

鵜瀬亮一監督(42)は「活躍する同期を尻目にリハビリする姿を見てきた。地道にやってきたことを信じて投げてほしい」と白勢に期待する。同期の県内出身投手には南隼人(日本文理)、菅井道(中越)、目黒宏也(長岡商)ら実力派がそろっている。故障で同期に出遅れ「正直、悔しかった」と言う。それでも故障中は患部以外をウエートトレで鍛え、今でも週3日は上半身、下半身、体幹を日割りで強化してきた。「頑張りたいなと思う」。あっさり話した言葉にもリーグ戦デビューへ気迫はこもっていた。【涌井幹雄】

◆白勢悠貴(しろせ・ゆうき)2001年(平13)7月25日生まれ、新発田市出身。野球は米子小4年からSYオーシャンズで始める。紫雲寺中では軟式野球。加茂暁星高3年の夏は背番号1で16強入りした。右投げ右打ち。178センチ、73キロ。血液型O。