亜大は今秋のドラフト候補に挙がる田中幹也内野手(4年=東海大菅生)が先制打を含む2安打1打点。得点に絡む盗塁も決め、打線をけん引した。

5回、1番の田中は1死三塁からやや内よりの直球をレフトフェンス直撃の適時二塁打。「手応えは完璧だったんですけどね。(僕の)ウエートが足りませんでした」と苦笑いした。続く2番和久本澪外野手(3年=常総学院)の打席、カウント2-2から三盗を決め1死三塁とし、中前適時打で2点目のホームを踏んだ。

悔しさを糧に、本来の自分を取り戻し結果につなげた。開幕から中大1回戦まで5試合を戦い、4安打で打点は0。盗塁もわずか1。青学大2戦目では1番から打順を9番に落とされ、無安打で8回には代打を送られていた。「結果が出なかったのが悔しかった。自分に、持ち味の積極性がないせいで、それがチームにも伝染したと思うんです」。春、全国制覇を果たしたチームが、青学大戦で勝ち点を落とし、最下位も頭をよぎった。

「ここからは自分が積極的に打線に火をつけてやろうと思いました」。自分を見つめ直し、中大戦の前には「1番に戻してください」と生田勉監督(56)に直訴。中大1回戦で敗戦後も、寮に戻ってからチーム全員に声をかけ練習した。もう下は向かない。チームメートとともに前だけを向き、本来の自分を取り戻した。

試合は公式戦初先発の草加勝投手(3年=創志学園)が中大打線を3安打に抑え、初完封勝利。田中は「今日の勝利でちょっと勢いづいたと思う。今度は4年生が姿勢で引っ張っていけたらと思います」と、力強く話した。【保坂淑子】