上武大(関甲新学生1位)が、日本ハムからドラフト1位で指名された日体大・矢沢宏太投手(4年=藤嶺藤沢)を、1本塁打を含む5安打5得点で5回途中でKO。2番手以降の投手にも手を緩めず、計2本塁打8安打と圧倒した。

今夏、大学日本代表で矢沢とバッテリーを組んだ上武大・進藤勇也捕手(3年=筑陽学園)に、初回1死満塁で打席がまわった。18.44メートルを挟み対峙(たいじ)。「絶対に打ってやろうと打席に入ったんですが、スライダーがすごくよくて」。低めのスライダーに見逃し三振。「悔しかった…」と唇をかんだ。

しかしこの回、矢沢は直球で2者連続死球。「今日はスライダーを軸にくる」。捕手の勘がさえた。第2打席の4回は、少し浮いたスライダーを右前に運び、矢沢を攻略した。

打線は5回に1本塁打を含む4連打で3点をあげ、なお1死二塁。進藤は、2番手・相馬綾太投手(2年=志学館)の直球を左翼スタンドに運んだ。「手応えは完璧でした」。試合を決めた。

矢沢対策は万全だった。「ちょっと高めからくるスライダーはストライクになるので、そのボールをアジャストしにいく。直球が決まりだすと厄介になるので、スライダーをどこで捉えるかだった」。対戦が決まると、左投手に短い距離から投げてもらった。とくに矢沢のスライダーは右打者には膝元に来る。「近くから何度も投げてもらい、対策した」。矢沢を攻略しなければ、神宮大会出場はない。強い気持ちで、何度もバットを振った。

試合後は矢沢に「頑張れよ」と声をかけられ、笑顔でうなずいた。「好投手から得点できたのはチームとしてもこれからいい流れではいけると思います。でも、次は気持ちをしっかり切り替えて戦いたい」。球場を後にする矢沢の後ろ姿に、優勝を誓った。【保坂淑子】