岡田阪神が補強ポイントの先発左腕を獲得した。出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させる「現役ドラフト」が9日、オンラインの非公開で初めて行われた。

阪神はソフトバンク大竹耕太郎投手(27)を指名。育成からはい上がり、プロ2年目の19年には先発ローテーションで5勝を挙げた。岡田彰布監督(65)の母校早大の後輩左腕が復活すれば、大きな戦力アップとなる。また、阪神からは陽川尚将内野手(31)が西武に移籍する。

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初めての現役ドラフトは思い通りの指名となった。リモートで参加し、リストを見渡し「この中やったら大竹が取れるならほしいなと。オレんとこに関しては(一番欲しかった)。先発としては可能性があると思って取った」と、会心の笑みを見せた。

岡田監督は来季、悲願の「アレ(=優勝)」を目指すために、今季9勝の伊藤将につづく2人目の先発左腕を探している。秋季キャンプでは桐敷、及川ら若手のアピールも、物足りなかった。今季リリーフで53試合に投げ、フル回転だった岩貞を先発転向させるほどだ。

その中でまだ27歳と若い大竹耕がハマれば大きい。今季1軍では2試合で0勝2敗と勝てなかったが、2軍では14試合に投げ12試合に先発。4勝1敗、防御率2・87と安定した数字を残している。岡田監督は今季の2軍での投球もチェックしていた。「(以前は)投げてたよな。(1軍の)先発ローテで投げてたよな」と話すように、ソフトバンクでは2年目の19年には開幕から夏場まで先発の一角として5勝を挙げている。

17年育成4位でソフトバンクに入団。早大からは珍しい育成出身でプロ入りした後輩について岡田監督は「会ったことはないけど、育成とかいきさつは知っているよ」とこれまでも気にかけてきた。今季は球速アップに取り組み最速145キロまで上げた。大竹耕は「伝統もあり、あの甲子園で投げられると思うと、今から気が引き締まります」と球団を通じコメント。熊本屈指の進学校である済々黌で2年生エースとして、12年夏の甲子園2回戦で鳴門(徳島)を1失点完投した。頭脳派左腕がタテジマのユニホームに袖を通し、甲子園で再び躍動する。【石橋隆雄】

◆大竹耕太郎(おおたけ・こうたろう)1995年(平7)6月29日生まれ、熊本県出身。済々黌2年夏、3年春の甲子園出場。3年春は常総学院を完封。早大では東京6大学リーグ通算11勝。17年育成ドラフト4位でソフトバンク入団。18年7月に支配下登録され、8月1日西武戦で初先発初勝利。184センチ、87キロ。左投げ左打ち。投手。来季推定年俸2000万円。

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