東都大学リーグ4年生の進路がほぼ出そろった。国学院大の古江空知前主将(4年=大分商)は焼酎の「いいちこ」でおなじみの故郷・大分の酒造会社、三和酒類株式会社に就職する。

11月24日、明治神宮大会決勝で敗戦後、古江前主将はチームメートと寮の部屋に集まり話をした。「4年間は、あっという間だったな」。笑顔で思い出話を語る手には、焼酎のお湯割りが。試合直後に見せた涙はなかった。「僕自身お酒が好きで、人を笑顔にすることも好き。人間関係を築き自社の商品を届けられたら幸せなこと」。好きなお酒と笑顔。天職と出会った。

鳥山泰孝監督(47)が就任して以来初となる、年間通しての控えの主将だった。投手として入学したが、俊足を買われて昨夏、外野手に転向。リーグ戦は代走での出場が多かったが、責任感の強さ、何より笑顔と明るさが評価された。

組織作りを一番に掲げた。チームスローガンを「日本一の実現~コーディネート・ウィズ・ザ・チーム」に決定。投手、内野手、外野手、打撃と、部門別にリーダーを作った。「僕はレギュラーじゃないし野手としての経験も浅い。それなら強みがある人に任せた方が、うまくなったり一体感が出ると思ったんです」。

チームの雰囲気作りは、お手のものだ。「うまくいかない時こそ笑顔が大事」。春にリーグ戦で連敗した時も、笑顔でもり立てた。鳥山監督も「そうだな、古江。明るく、楽しく、前向きに。それでいこう」。奮起したチームは春2位、秋には投打がかみ合いリーグ制覇。明治神宮大会では準優勝まで上り詰めた。

「笑顔でいれば、周りを巻き込める。言葉はなくても、気持ちを共有できる」。組織作りと自主制。この4年間で、あらためて笑顔の大切さを知った。「いろんな人を笑顔にするために自社の『いいちこ』を届けていきます!」。これからも自分らしくあるために-。笑顔で社会に巣立っていく。【保坂淑子】

◆古江空知(ふるえ・そらち)2000年(平12)11月28日生まれ、大分県出身。小3の時に沖代クラブで野球を始め、豊陽中から大分商。国学院大には投手として入学し、3年夏に野手に転向。3年春秋、リーグ優勝。今年は主将として秋季リーグ戦優勝。明治神宮大会準優勝を果たした。170センチ、63キロ。右投げ右打ち。