今年の活躍が期待される監督、選手などのインタビュー連載「静岡から新たな風を」の3回目は、社会人野球ヤマハの中田悠斗外野手(23=藤枝明誠高出)と相羽寛太内野手(20=静岡高出)。昨年10月に台湾で開催された「第4回WBSC U23W杯」に侍ジャパンU23のメンバーとして出場し、3大会ぶり2度目の優勝をつかんだ。さらなる飛躍が期待される2人。昨季を振り返りながら、今季への思いを語った。

昨年10月23日。中田と相羽は台湾の台北で歓喜に酔いしれた。韓国との決勝にそろって先発フル出場し、3-0で勝利。侍ジャパンU23の一員として快挙を達成。世界一の栄冠を手に、最高の形で22年シーズンを締めくくった。

中田 自分自身の結果は、本当にどうでもよかった。それぐらい最高に気持ち良かった。最高でした。

相羽 めちゃくちゃうれしかった。最後に打球を捕って試合が終わった瞬間、みんなで喜びを分かち合えた。本当に最高でした。

途中出場も含め8試合に出場した2人。中田は打率2割5分、相羽は大会後半には4番も任され、3割1分6厘を記録した。世界を肌で感じ、課題と収穫も持ち帰った。

中田 自分の結果としては、納得できるものではなかった。強く重い球、動く球をどう捉えるかという課題が残った。

相羽 起用してもらった試合では、毎試合結果を出せて自信になった。半面、世界と対峙(たいじ)してパワーなど足りないこともまだまだ多かった。

初めて日の丸を背負った。同じ社会人野球でプレーする若手選手のみで戦った11日間。大会期間中は、刺激にあふれていた。

中田 中央大の同級生の中川(拓紀=ホンダ鈴鹿)が、大学時代よりもすごく成長していた。「負けてられない」と思った。

相羽 同じ年の片山(楽生)選手(NTT東日本)が決勝進出を懸けたスーパーラウンド・メキシコ戦で良い投球(5回無安打6奪三振)をして、大西(蓮)選手(JR東日本東北)は首位打者を獲得した。すごく良い選手たちと一緒にできて、会話をする中でもいろいろな考えを聞けた。

一方、ヤマハでは悔いが残る1年だった。都市対抗は4年連続の本戦出場も、2年連続初戦敗退。日本選手権では、東海地区最終予選で敗れた。2人は同じ思いを抱いている。

中田 自分たち若手が「今年は違うぞ」と、ベテランの選手たちに一泡吹かせられるような存在にならないといけない。それがチームの力にもなると思う。

相羽 ベテランの方がたくさん試合に出てるのが現状。自分たち若手が「ベテランが抜けてからレギュラーになる」ではなく、追い抜くという意識でやっていかないといけない。それが相乗効果にもなると思う。

逆襲の23年へ-。中田と相羽は明確な目標を掲げ、自身の課題と向き合う。

中田 都市対抗の本戦で、首位打者やベストナインなど個人タイトルを取りたい。そのためには、体ももっと大きくする必要がある。そうすればスイングスピードも上がり、打球の質も良くなると思う。まずは、体作りと使い方を中心にやっていきたい。

相羽 目標は社会人NO・1ショート。全国で結果を残せる選手になりたい。ただ、今は本当にパワーが足りない。中田さんと同じように、しっかり体を作って使い方を覚える。打球を飛ばせるようにしたい。

ヤマハでの活躍は、幼少期からの夢実現にもつながっていく。今年で中田は大卒2年目、相羽は高卒3年目を迎える。今秋のプロ野球ドラフト会議では、指名が“解禁”となる。

中田 外野の層が厚く、相当レベルの高い選手がいるヤマハで定位置を確立できれば、プロにも近づくと思う。チームで上位を打って、中心選手になれるように頑張っていきたい。

相羽 もちろんプロを目指している。ただ、ヤマハでしっかり定位置を取って、上位打線を打てるようになってからだと思う。まずは、チームで主軸として活躍できるようになっていきたい。【取材・構成=前田和哉】

◆相羽寛太(あいば・かんた)2002年(平14)9月21日、森町生まれ。森町飯田青葉少年野球クラブ-磐田ボーイズ-静岡高を経てヤマハ。静岡高2年夏に甲子園出場。右投げ右打ち。178センチ、76キロ。家族は両親と兄。血液型O。

◆中田悠斗(なかだ・ゆうと)1999年(平11)7月24日、静岡市生まれ。興津ドラゴンズ-東海大静岡翔洋中-藤枝明誠高-中大を経てヤマハ。藤枝明誠高3年夏に主将として甲子園出場。右投げ左打ち。182センチ、80キロ。家族は両親と兄。血液型O。