昨春の東北大会準V、同夏宮城大会8強の東北・伊藤千浩(かずひろ)外野手(18)が今春、仙台6大学野球の東北福祉大(宮城)に進学する。

前チームで「エースで4番」を務めた主軸は、昨年10月のドラフト会議で指名漏れ。NPBに19年から4年連続でプロ野球選手を輩出する名門での飛躍を誓うとともに、選抜高校野球に出場する後輩にエールを送った。

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決して夢を諦めない。188センチの恵まれた体格で、最速145キロ、高校通算20本塁打を誇る大器は、昨年9月にドラフト志望届を提出するも無念の指名漏れ。その際、富沢清徳前監督(55)から「まだ完成形ではない」と言われ、4年後の指名を目指し、気を引き締めた。卒業後の進路を問われると「プロしか目指していない」と言い切り、こう続けた。「プロに行く時は日本を背負えるようなすごい選手になりたい」。

昨春は東北大会準V。優勝候補の一角だった夏の宮城大会準々決勝では、新型コロナの影響により12選手の登録変更を余儀なくされた。その聖和学園との大事な一戦では「4番投手」で先発出場。だが、チームは7回コールド負け。悔いが残る形で最後の夏を終えた。高校3年間について「心と体ともに成長できた。富沢監督には技術的、精神的にすごく勉強させていただいた」と感謝しながら振り返った。

引退後の同8月からは佐藤洋監督(60)が就任。新体制では丸刈りが廃止、音楽が流れる中での練習といった「大改革」が施され、「エンジョイベースボール」で快進撃を見せた。そして1月、東北大会準優勝を果たした後輩が、12年ぶり20度目の甲子園出場を決めた。「(甲子園は)すごいなと。自分が一緒にやっていた時とは違う色がある。ヒロシさん率いるチームのカラーがすごく固まっているいいチームだと思います」。

同校は16年夏以来の甲子園。10日、組み合わせ抽選会が行われ、初戦の相手が山梨学院に決まった。「後輩たちのテーマには『楽しむこと』が一番にある。東北高校は甲子園から離れていましたけど、伸び伸びと変に気負わず、楽しみながら頑張ってほしい」。自分らが立てなかった舞台での活躍を託し、自分の夢に突き進む。【相沢孔志】

◆伊藤千浩(いとう・かずひろ)2004年(平16)6月23日生まれ、宮城県利府町出身。菅谷台小2年から利府西スポーツ少年団で野球を始める。利府西中では軟式野球部。東北では1年秋からベンチ入り。3年春は東北大会準優勝。188センチ、80キロ。右投げ右打ち。家族は両親、兄3人、姉。憧れの野球選手はエンゼルス大谷翔平。好きな有名人は菅田将暉。