同大の1年生右腕がライバル立命大撃破に大きく貢献した。

2-1の5回1死二、三塁。一打逆転のピンチで4番手に指名されたのは野辺慧哉(のべ・さとや)投手(1年=津西)だった。上位打線を右飛、四球、左飛に抑え、ベンチでもみくちゃにされた。「準備はできていました。昨日よりも緊張したけど、逆に開き直れたと思います」と、幼さの残る笑顔を見せた。6回、7回も3人ずつで抑え、逃げ切りの流れをつくった。

前日に大学デビューしたばかり。立命大戦の1回戦先発という大抜てきで2回無失点と結果を出した。2日連続の2-1勝利を支えた野辺は、同じ1年生で正捕手に固定されている辻井心捕手(京都国際)の絶妙なリードに感謝した。

三重県屈指の公立進学校・津西の出身。高校では外野手と2番手投手。最後の夏は8強まで進んだが県内でも決して目立った存在ではなかった。ただ、ひそかな自信もあった。「夏の大会もそんなに点を取られなかった。投手としての能力はある程度出せていたと思う。大学野球は甘くないし、不安もありましたけど、自分のできる投球をしようと思っていました」

一般の指定校推薦で同大入学を決め、2月中旬に名門野球部の門をたたいた。下級生の試合でアピールすると、リーグ戦真っ最中の5月に入って主力の紅白戦に呼ばれた。そこで指導陣に高い評価を受けた。

最速139キロながらスライダー、カーブ、スプリットなどを制球よく投げ分けるスタイルで、1年生らしからぬ安定感がある。リーグ戦の最後に台頭してきたシンデレラボーイは「安定して試合の流れをつくれる投手になりたい」と理想像を描いた。【柏原誠】