三菱重工Westが延長10回裏に5点差をひっくり返す猛攻で近畿地区予選の1回戦を突破した。

3-3で延長に入り、無死一、二塁から始まるタイブレークでいきなり5失点。しかしその裏にミラクルを起こした。

1死満塁で佐藤悠輝内野手(24=東北福祉大)の押し出し死球、拾尾昌哉捕手(21=奈良大付)の三塁への適時打、朝日晴人内野手(22=慶大)の押し出し四球でまず3点。暴投で1点差に詰め、最後は中山将太主将(26=中部学院大)が左前へ逆転2点打を放ち、劇的勝利を飾った。

殊勲の中山は「5点差は結構厳しいと思ったが、みんながつないでくれた。打順が回ってくると信じてしっかり準備していた」と主将らしく、チームを信じて打席に立った。

大学卒業後に、三菱重工名古屋に在籍し、三菱重工の西日本3チームの統合で三菱重工Westに合流した4年目だ。

「もともと神戸・高砂が仲のいい雰囲気のチームで名古屋、広島から合流した選手もなじみやすく、すぐ『West』になりました。僕は名古屋で学んだことをみんなに伝えて、いい部分を取り入れました」

津野祐貴監督(36)は「負ける覚悟をしていた。諦めるという感じではなく『1点ずつ返していこう』と選手に伝えていました」と明かした。

就任と同時に主将に指名した中山に関しては「責任感の強いキャプテンが決めてくれてよかった。決してチャンスに強くはないのですが(笑い)。気持ちで決めたんじゃないのかな」と安堵(あんど)の表情を見せた。日頃から責任感のある中山の姿を知る。「しっかり周りを見る目がある。チームをまとめる仕事は大変ですが、自分の役割を把握しながら練習に取り組んでいる」。信頼できるキャプテンの一振りで2回戦に進出した。【中島麗】