阪神電鉄が28日、大阪市内の中沢佐伯記念野球会館で、甲子園球場の銀傘(内野の一部座席を覆う屋根)を一、三塁のアルプススタンドまで拡張する構想を発表した。
球団オーナー代行を務める阪神電鉄の谷本修取締役(57)が会見した。アルプスの両端まで銀傘を拡張する。着工は早くても25年オフとなると見られる。「できるだけ早くとは考えている。ただ大阪関西万博と同時進行は難しい。建設業界の2024年問題もある。関西のためにも」と、25年4月から開催される万博への影響を考えて、その後の着工となる。
工期も工費も未定。春、夏の高校野球、プロ野球、冬の甲子園ボウルなどはそのまま継続。「オフシーズンを使って、数カ年にわたる。難工事が予想される」と、完成まではまだ時間がかかりそうだ。工費についても「まだ詳細には詰められていないが、相当な投資、覚悟を持ってやりたい。阪神電鉄として使命感と覚悟を持ってやる」と話した。
ただ銀傘を伸ばすだけでなく、現在の内野指定席の上段にあるスイートルームの設置なども構想に入っている。現在、大林組とともにさまざまな検討を重ねている。谷本氏は「ある程度シミュレーションしているが、グラウンドには影響がない」と、プレーヤーにとって支障はないようだ。
夏の全国高校野球選手権では、応援団が陣取るが、近年の酷暑で熱中症対策が課題となっていた。銀傘が伸びれば、アルプスにも日陰の部分ができる。また外周にも出っ張るため、高校野球で次の試合を待つ客も屋根の下で待機することができる。
この日は日本高野連で今夏の全国高校野球選手権大会の運営委員会が開催。そこでも計画を説明し賛同を得た。29年にはアルプス席まで銀傘があったが、戦時中の43年に軍へ金属を供出するために撤去された。「歴史と伝統を新たな100年に紡いでいくため。平和の象徴として本来の姿に完全復活する構想」と、強い気持ちを持ち、計画を進めていく。



