<中日3-0楽天>◇24日◇ナゴヤドーム

 236日ぶりにマウンドに帰ってきた。出遅れていた中日川井雄太投手(29)が今季初先発で初白星を挙げた。105キロ前後のスローカーブを駆使して楽天打線を翻弄(ほんろう)し、6回5安打無失点。チームの連敗を2で止めた。09年9月30日巨人戦(ナゴヤドーム)以来の登板。普段、感情を表に出さない左腕はお立ち台で「長かったけど自分を応援してくれた人のおかげでここまで来られた」と照れくさそうに笑った。

 天国から地獄に突き落とされた。昨季は開幕から11連勝という球団新記録を打ち立てながら、7月30日巨人戦(東京ドーム)を最後に連勝が止まり、その後は5連敗してシーズンを終えた。さらに左腕に不運が襲いかかった。今季開幕前の3月2日、広島とのオープン戦(ナゴヤドーム)。試合序盤に打球を左すねに当て負傷退場した。思わぬアクシデントに見舞われて開幕1軍もかなわなかった。

 昨オフの連敗中に精神面の弱さを痛感した。オフには故郷・長野県の山中にある山荘に泊まり込み、1人きりで雪かきなどを行った。山ごもりによる精神修行で自分を一から見つめ直した。開幕前には帽子の「つば」に「超える」とマジックで書き込んだ。「去年の自分を自信を持って超えていきたい」。298日ぶりの勝利で、1歩を踏み出した。

 「(09年の経験が)生きていると言うよりも生かさないといけない。初めて投げているピッチャーとは違う。そういう年だろう」。落合監督は笑顔で左腕の1軍復帰を喜んだ。【桝井聡】

 [2010年5月25日9時2分

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