オリックスが秋季高知キャンプで、メジャー16勝右腕の入団テストを行うことが2日、分かった。韓国系米国人の白嗟承(ペク・チャスン、31)で、マリナーズとパドレスで計16勝の実績を持つ。右肘痛で09年にパドレスを解雇されたが、手術を受け復活。新天地を求め、日本に売り込みをかけた。

 オリックスの「隠し玉」が判明した。メジャーで16勝の実績を挙げ、来年32歳と働き盛りの右腕、白嗟承だ。1日までにコミッショナーへの身分照会をすませた。5日に韓国から高知に呼び、秋季キャンプ初日の6日からテストを行う。球団関係者は「メジャーでの実績もあり、高い能力を持った投手と聞いている。実際に投球を見るのが楽しみ」と期待を込めた。

 高校時代から逸材だった。釜山高在学中の98年に韓国高校代表に選ばれ、日本で行われたAAAアジア野球選手権大会にエースとして出場した。横浜(神奈川)松坂大輔(レッドソックス)がエースの日本代表が優勝した大会で、3位に入った。

 その後はアマのフリーエージェントとしてマリナーズに入団。04年にメジャー初勝利を挙げ、08年にトレード移籍したパドレスで自己最多6勝を挙げた。翌09年も先発を任される予定だったが、右肘痛で登板できないまま同年解雇された。痛みの原因だった遊離軟骨を除去する手術を受けた結果、完全復活。今では150キロ近い速球を取り戻し、カーブ、スライダー、ツーシームなど多彩な変化球を操る。復活した白嗟承を知る関係者は「コントロールも抜群で、球威も回復している。練習に取り組む態度もひたむき」と証言する。

 白は新天地を、メジャーではなく、日本に求めた。高知で岡田監督のめがねにかなえば、白嗟承は新しい働き場所を、オリックスは強力な助っ人を得る。

 ◆白嗟承(ペク・チャスン)1980年5月29日、韓国釜山広域市生まれ。釜山3年の98年に高校代表に選ばれ来日して第3回AAAアジア野球選手権大会出場。同年オフ、アマのフリーエージェントとしてマリナーズに入団し04年メジャーデビュー。08年途中、パドレスにトレード移籍。メジャーでは主に先発で、4年間で16勝18敗、防御率4・83。09年オフにパドレス退団。10年は米国独立リーグに在籍し、今季は所属チームがなかった。193センチ、99キロ。右投げ右打ち。