<コナミ日本シリーズ2013:楽天2-4巨人>◇第6戦◇2日◇Kスタ宮城

 魂を込めて腕を振った。第2戦に続き楽天田中との投げ合い。全てを託された巨人ルーキー菅野智之投手(24)が、大仕事をやってのけた。7回3安打2失点。2点のリードを置き土産に、ベンチで勝利の時を待った。「やるしかない。その一心だった。自分を信じてやるしかない。余計なことは考えなかった。内容はあまり良くありませんでしたが、チームが勝てたことが一番うれしい」。敵地で挙げた大金星に誇らしげだった。

 少々のプランのずれは関係なかった。「先制点が大事。それは相手が田中投手となれば1点の重みは、いつも以上に重くなる」。先取点が勝つための絶対条件だった。だが、不運が襲った。2回に1死から四球と安打で二、三塁のピンチを招いた。続く嶋は三ゴロに打ち取ったが、三塁手の村田と走者が重なり本塁進入を阻止できず先制を許した。なお、2死三塁で聖沢の平凡な打球を一塁手ロペスが、まさかのトンネル。わずか1安打で2点も先行された。

 重すぎる2点。味方のミスも絡んだが、毅然(きぜん)とした振る舞いを貫いた。むしろ、そこから投球のギアを上げた。3回、4回は3者凡退。「前回は変化球を打たれて、少し悔いが残った。真っすぐで押していこうと思った」と、勝負どころは140キロ台後半の直球で力勝負を挑んだ。「『絶対に勝つ』という気持ちはいつも以上に強くもって投げた」と、反撃ムードを演出。第2戦の黒星を受け止め、そこから学び、逆転勝利に結びつけた。

 徳俵に追い込まれたチームを救った106球。「厳しいところを任されたなと、心が弱気になるときもあった。でも、勝ったらヒーローだと自分に言い聞かせた。とにかく、うれしいです」と、やっと肩の力が抜けた。難攻不落の無敗エースをプロ1年目の菅野が、ぶっ倒した。【為田聡史】