崖っぷちの男が決死の猛アピールだ。阪神二神一人投手(26)が16日、韓国LGとの練習試合に8回から登板し、2回をわずか18球で料理。4者連続三振を奪うなど無安打無失点の快投だ。プロ4年間で1軍登板は4試合、今季は登板なしに終わった。もがき苦しんだ09年ドラ1右腕が、好投で来春1軍キャンプの当確ランプをともした。

 最速143キロ。キレのある直球をコーナーに投げ分けた。小さく動く変化球も効果的に決まった。だが、笑顔はない。「今やっている形が出せた。強いボールを求めてずっとやっているので」。危機感さえにじむ表情は、来季にかける思いを表していた。

 ようやくたどり着いた形だ。今年2月。春季キャンプで、サイドスローに挑戦。腕を一番強く振れる角度を試行錯誤し、現在のスリークオーター気味の位置に定まった。成長を感じさせる好投。中西コーチは「決して遠回りではない。ボールの勢いが出てきた。今の感じだと(1軍キャンプの)沖縄だな」と明言した。

 14日に減額制限いっぱいの25%ダウンとなる来季推定年俸750万円で契約更改。勝負の5年目を迎える。先発、中継ぎにもこだわりはない。「投げるのが仕事。投げないと給料も上がらない。この世界で戦っていくためにも、どこでも投げられるようにレベルアップしていくだけ」と気を引き締めた。地元高知で、過去の自分に別れを告げる。【池本泰尚】