<パCSファイナルステージ:ソフトバンク4-6日本ハム>◇第5戦◇19日◇ヤフオクドーム

 ソフトバンクはリーグ優勝に続き、CS突破も最終戦にもつれ込んだ。ビールかけに備えてタクシー出勤組の多かった第5戦で、まさかの4点差を逆転負けだ。秋山幸二監督(52)は「これも野球でしょう。短期決戦ではいろいろあるな」と想定外の現実を素直に受け入れた。

 試合内容は日本ハムに勢い水をつけた形だ。4点を先取し、スタンリッジが6回を無失点。理想のゲームプランは「勝利の方程式」で狂った。森が7回2死無走者から3連打で2点差にされ、救援した森福も西川に適時三塁打を浴びて、1点差。8回は五十嵐が中田に同点ソロ。1年半ぶりの被弾がここで訪れた。延長11回はサファテが決勝の2点を失った。森-五十嵐-サファテの同時失点は今季初めて。マウンド上で守護神が初めて膝を折った。

 日本シリーズ進出をかけた最終戦。秋山監督は先発を「大隣です。行けるところまで投げる」と予告。腰の難病手術から今夏復帰した左腕を、全投手を通じて1度もない中4日でぶつける。体調を考慮して中10日以上で回した当初を考えれば「禁じ手」ともいえるが、大隣は「自分の中では働いていない分、ここで頑張るだけ」と意気に感じた。リーグ優勝した「10・2」に続く大役に燃えていた。

 先発要員の武田を中継ぎに回し、43球を投げたサファテら「方程式」も回数、球数制限なく投入する。秋山監督は「もう言ってられない。向こうもそう。条件は一緒」と声を絞った。最後には「目いっぱいやな。胃が痛いバイ」と九州弁で本音もちらり。ただ、低い声色からは怒りや悔いより、覚悟のエネルギーが伝わった。【押谷謙爾】