虎のエースになれ!

 阪神が25日に行われたドラフト会議で大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手(18)を4球団競合の抽選で引き当てた。春夏の甲子園、国体の今季3冠を達成した153キロ右腕に対し、背番号18を用意する。藤浪は大阪・大東市の同校で会見。甲子園での無敗記録継続を目標に掲げ、伝統の巨人戦で投げる姿を思い描いた。

 運命に吸い寄せられるように、甲子園の申し子、藤浪の交渉権が阪神に決定した。オリックス、ヤクルト、ロッテとの抽選。テレビで阪神和田監督が当たりくじを引いて喜ぶのを見ると、こわばった頬を緩め、白い歯を見せた。

 藤浪

 地元ということで、熱狂的なファンがいる球団。プレッシャーもあるけど、それを力に変えて頑張りたい。

 甲子園では、初めて出場した3年春、そして夏と連続優勝を達成した。春夏合わせて9試合に登板し、無敗を誇る。慣れ親しんだ聖地が本拠地となり、甲子園での無敗宣言も出た。

 藤浪

 甲子園は好きですし、投げやすいと思ってる。いずれ負けるとは思いますけど、できるだけ甲子園で負けないようにしたい。

 早期から阪神が1位を公言し、複数球団の競合になると分かっていたが、藤浪にはある予感があった。

 藤浪

 決まるまでは口にしないようにしてたんですけど、何となく阪神に入りそうな気がしていました。

 実は数日前から、親しい関係者に“予感”を明かしていた。05年リーグ優勝の瞬間を、甲子園の一塁側スタンドで観戦していた縁もあった。9月29日巨人戦で、和田監督は打撃コーチとして歓喜の輪の中にいた。「縁があるのかなと思います」。くじを引き当てた和田監督も、前日に「甲子園で投げる姿が頭にある。それが来年見られる」と話していた。

 宿敵に投げるイメージも膨らませた。幼い頃は巨人ファン。特別な意識はなくなっていたが、気持ちは切り替わった。「そういう意味では関心も増えると思いますし、その中で力を発揮したい」。今季阪神は巨人に5勝15敗4分け。燃えないわけがない。

 球団からは背番号18を用意されている。エースになることを宿命づけられた藤浪は、虎の命運を背負い、プロの荒波へとこぎ出す。【山本大地】

 ◆甲子園優勝投手の阪神入り

 高校卒業時のドラフト指名では67年センバツ優勝の吉良修一(津久見)が2位、84年センバツ優勝の山口重幸(岩倉)が6位入団。社会人経由では80年センバツ優勝の中西清起(高知商-リッカー)が83年1位入団。ドラフト制以前では34年夏優勝の藤村富美男(呉港中)らが入団している。