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＜ＷＢＣ・第１ラウンド：オランダ２－１ドミニカ共和国＞◇１０日（日本時間１１日）◇Ｄ組◇敗者復活２回戦◇プエルトリコ、ヒラム・ビソーン・スタジアム

　ＷＢＣ・Ｄ組で１０日（日本時間１１日）、「無印軍団」オランダがオールメジャーで固めたドミニカ共和国を、延長１１回逆転サヨナラで破り、第２ラウンドに進出を決めた。優勝候補大本命のドミニカ共和国は、オランダに２連敗し第１ラウンド敗退した。オランダの奮闘に「史上最大の番狂わせ」との声が上がっている。

　デカスターのゴロが一塁手のグラブをはじき、決勝点が入ると、中継した地元アナウンサーは「国際野球で最大の番狂わせがまたも起きました」と絶叫した。現役メジャーリーガー０のオランダがオールメジャーのＶ候補本命、ドミニカ共和国を初戦に続いて２度破ったのだ。

　１点を奪われ追い詰められた延長１１回裏でも、決してあきらめない。先頭の代打デヨングがカブス守護神マーマルから中越え二塁打。チーム初長打で勢いづくと１死後、１１回表にライト前ヒットを後逸して１点を与えてしまった右翼手キングセールが「冷静にストライクだけを待って振った」。打球は右前に落ちる同点タイムリーになった。

　守護神マーマルは動揺して一塁にけん制悪送球で、キングセールは三進。最後は２死一、三塁でデカスターの一ゴロを一塁アイバーがはいて失策、キングセールが逆転サヨナラのホームを駆け抜けた。

　オレンジ色の帽子を放り投げ、歓喜の輪ができた。テネシー大を１８年率いて大学球界の名将といわれるデルモニコ監督は「これは奇跡。こんなに情熱を持ったチームを率いるのは初めて。素晴らしい若者たちだ」と涙で言葉を詰まらせた。

　国内にプロリーグを擁すとはいえ、サッカーに押される欧州の“野球小国”。五輪やＷ杯など過去２５度の国際大会で、獲得したメダルは１個しかない。だが、今回チームを支えるのは、オランダ領アンティルの諸島出身選手らだ。ベネズエラ北に浮かぶ自治領で、うちキュラソーとアルバの２島から０５年にオリックスでプレーしたサイモン（元フィリーズ）、同点打のキングセール（元タイガース）ら半数の１４人が代表入りした。少年野球ではカリブ最強とされるほど野球が盛んだ。

　キュラソー島出身のデカスターも「このチームは自信を持っている。次のＷＢＣはもっと強くなっているよ」と話した。チーム防御率も３試合でわずか１・６１。オランダが第２回ＷＢＣの「台風の目」になった。

　［2009年3月12日9時1分　紙面から］

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